第5回 公共系・抽象系ケース~解き方と注意点
ここまで、ケース面接で頻出の「フェルミ推定」「ビジネス系ケース」について解説してきました。他方、これらのケース問題に関して、「学生側がかなり対策をしている」という認識をコンサルティングファーム側も持ち始めています。そのため、応用型として「公共系」や「抽象系」といったテーマの出題が増えてきました。
公共系・抽象系のケースは、変則的な出題に見えるため、苦手意識のある方もいるかもしれません。しかし、基本的な考え方は、フェルミ推定やビジネス系ケースと同様です。これまでお伝えしたポイントを踏まえながら、公共系ケースと抽象系ケースの解説をしていきます。
公共系ケースの考え方
公共系ケースの出題形式は、「課題解決型」「賛否選択型」の2パターンが代表的です。それぞれで進め方が異なるので、順に紹介していきます。
1. 課題解決型
いわゆる社会問題などについて、解決策を考えるパターンです。「都心の朝の満員電車を解消するには」「出生率を高めるには」といったテーマが出題されます。検討の進め方としては、ビジネス系ケースで用いた5ステップを応用する形です。
2. 賛否選択型
このタイプは、「救急車を有料化すべきか」「移民の受け入れの是非」など、ある施策や政策についての賛否を問う形式です。課題解決型とはスタイルが異なるように見えるものの、根本的な考え方は共通しています。
基本的には、「救急車の有料化」などの出題テーマについて、対案がない場合、ないし対案はあるが劣る場合は「賛成」となります。一方で対案があり、比較をして優れた策である場合には「反対」の立場です。
賛否を決めるにあたっては、以下のステップで検討します。
抽象系ケースの考え方
抽象系ケースでは、「幸せとは何か?」「真のプロフェッショナルとは?」など、曖昧な言葉についての定義を求められます。ビジネス系ケースなどにおける「前提の確認」にフォーカスして、細かく整理を行うパターンと言えるかもしれません。
押さえるべき2ステップ
ビジネス系ケースのテーマと比べ、「幸せ」「真のプロフェッショナル」など、いきなり定義をするのが難しいことが多くなります。そのため以下の2ステップを踏むと良いでしょう。
ディスカッションの対応
上記2ステップで定義づけが出来た後は、面接官とのディスカッションに入ります。
抽象系ケースでは、他ケースと比べ、全体感を把握しロジカルに整理するのが難しいです。面接官から、「こういう場合は当てはまらないのか」といった指摘を受けやすく、ビジネス系ケース以上に、ディスカッションの難度が高いでしょう。
ポイントとしては、
最後に
全5回にわたって、ケース面接の傾向や対策について解説をしてきました。思考のステップやフレームワークなど、さまざまな出題パターンに共通する考え方を細かくお伝えできたかと思います。
一方で、最後に改めてお伝えしたいのは、「ケース面接は知識や解法が重視されるものではない」ということです。あくまで「ディスカッションパートナー」としての適性が判断されており、面接官とのコミュニケーションこそが重要になります。回答のクオリティはもちろんですが、目の前の問題に対してあきらめず、粘り強く議論を続ける姿勢こそが重要なのです。
そのため、対策の段階においても、ケース面接の問題を繰り返し解いて、論理的思考を身に着けるだけでなく、対人での模擬面接を出来る限り行ってください。自主練習と対人練習を繰り返すことが、合格への近道になるでしょう。