主要な戦略コンサルファームの紹介
戦略コンサル業界の歩き方

第3回 主要な戦略コンサルファームの紹介

ここまでの記事を読んで、戦略コンサルへの就職に関心が高まってきている方もいるでしょう。今回は、戦略コンサルにはどのようなファームがあるのか、それぞれのファームはどのように異なるのかといった点にまで踏み込んで、解説していきます。

戦略コンサルを行っているコンサルティングファームはどこか

戦略コンサルは、主に経営者の相談役として、経営戦略の策定などを中心にプロジェクトを実施しています。

このような仕事を行っているコンサルファームとしては、

  1. 外資系戦略コンサル
  2. 日系戦略コンサル
  3. グローバル総合ファームの戦略コンサル部門
  4. 日系総合ファームの戦略コンサル部門
  5. シンクタンクの戦略コンサル部門

の5つが主にあげられます。これらはどこも、戦略策定の支援という同様の仕事をしています。

しかし、創業時における主業務の違いや、発展の経緯などから、一般的には①〜③までが「戦略コンサルファーム」と呼ばれているのです。

「戦略コンサルを行っているファームの分類」の図表

以下に、戦略コンサルにおける代表的なファームを紹介します。

外資系戦略コンサル

外資系戦略コンサルは、ワールドワイドに拠点を持ち、グローバルカンパニーや大企業を主たるクライアントとしています。プロジェクトによっては、海外拠点のメンバーとチームを組むケースもあります。

また、海外オフィスへの異動の機会があったり、知名度の高さから海外での転職もしやすかったりするなど、海外でのキャリアを考える人にとって、素晴らしい環境といえるでしょう。

マッキンゼー・アンド・カンパニー

マッキンゼーは、世界65ヶ国に130を超える拠点を持ち、3万人を超えるスタッフを擁する世界最大の戦略コンサルファームです。実績、認知度、ブランド力などの面からも、コンサル業界を代表する存在となっています。

同社の強みのひとつは、グローバルでの協力体制にあります。世界中のオフィスで実施されたプロジェクトの知見が共有され、活用することができます。さらに、McKinsey Global Instituteと呼ばれる研究機関なども存在し、高品質なコンサルティングを支えているのです。

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>マッキンゼー 公式HP

入社後1年で大規模な組織変革につながるプロジェクトにアサインしてもらいました。そのプロジェクトは終了後メディアでも取り上げられ、社会の変化に自分が貢献できた実感を持つことができました。 

(アソシエイト 20代前半 男性)

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)

世界50ヶ国、100都市以上のネットワークを持つ著名な戦略コンサルです。1960年代に日本に進出し、日本に初めて経営戦略コンサルという概念を持ち込んだファームとして知られています。2003年に名古屋オフィス、2020年に関西オフィス、2021年に福岡オフィスを設立。東京オフィスの人員数は、他の戦略コンサルに比べても圧倒的に多く、日本のビジネス界に深く定着したファームとしても知られています。

また、企業のデジタル化対応を支援するため、「Digital BCG」という組織をつくり、戦略立案能力とIT技術を融合したコンサルティングを展開。さらに、社会情勢を踏まえたテーマにも積極的に取り組むなど、近年は、日本発のコンテンツや技術を世界に展開するグローバル案件も数多く手がけています。

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>BCG 公式HP

組織規模が大きいファームなので、同世代のコンサルタントも多数いて、とても仲が良いです。研修も充実していて、働きやすい環境だと思います。  

(コンサルタント 20代後半 女性)

ベイン・アンド・カンパニー

世界40ヶ国65拠点のネットワークを持ち、マッキンゼー、BCGと並ぶ世界有数の戦略コンサルファーム。クライアント企業とともに問題解決を推進し、具体的な結果につなげる「結果にこだわるコンサルティング」を提供することで知られています。コンサルティングフィーを大幅に上回るリターンを生み出すことを一つの規律としています。また、密度の濃い、グローバルで通用するスキルを培うことができる独自のトレーニングシステムを持つこともベインの魅力の一つと言えるでしょう。

企業の合併・買収に関するコンサルティングに力を入れているほか、昨今ではサステナビリティ関連のプロジェクトも増えています。

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お互いに支え合う文化があり、データ整理で苦労していた時に、先輩にサポートをしてもらえて感謝しています。次は自分が誰かをサポートすることで恩を返したいと思っています。 

(アナリスト 20代前半 女性)

A.T.カーニー

A.T.カーニーは1926年に米国シカゴで創立され、世界41ヶ国と地域、71拠点のグローバルネットワークを持つ世界有数の戦略コンサルです。戦略立案からオペレーション、ITに至るまで一貫した高品質のサービスを提供できることに定評があります。

同社は、個々のコンサルタントがクライアントにとっての「Trusted Adviser(信頼される相談相手)」であり続けること、社会の未来を形づくるリーダーにとっての「The Most Admired Firm(最も評価され、信頼されるコンサルティング会社)」であることを目指しています。日本では特に金融機関や商社、消費財メーカーへのコンサルティングに実績を持ちます。

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>A.T.カーニー 公式HP

ローランド・ベルガー

ドイツ・ミュンヘンに本社を置く、ヨーロッパを代表する戦略コンサル。欧州最先端の工業国であるドイツで誕生したこともあり、日本でも自動車を中心とした製造業の支援に大きな強みを持っています。

近年、東京オフィスでは有力なスタートアップと「価値共創ネットワーク」を構築し、新商品開発やAIを活用したソリューションを提供。中長期の変化を踏まえたサステナブルな成長戦略を支援する姿勢は、日本企業からも高く評価されています。

戦略策定だけでなく、実行支援までを重視したファームとしても知られています。マーケティングや、事業再生に強みを持っています。

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>ローランド・ベルガー 公式HP

アーサー・ディ・リトル(ADL)

1886年にアーサー・D・リトル博士により、世界最初の民間受託研究機関としてマサチューセッツ工科大学のキャンパス内に設立された、世界最古の経営戦略コンサルファームです。イノベーションの実現を軸に蓄積した知見をもとに、製造業の支援に強みを持っています。

「Side-by-Side(常に顧客とともにある)」をコンセプトに、クライアントへの価値提供を何よりも優先しており、クライアントが自走できる環境を構築することを目標としています。

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かつては、理系出身者が多数を占める印象が強かったのですが、近年はバックグランドが多様化しており、出身学部別で見ても文理がほぼ同数となってきました。

(コンサルタント 20代後半 女性)

アリックスパートナーズ

アリックスパートナーズは、アメリカ系戦略コンサルで、世界60カ国を超える国で事業を展開しています。同社の特徴は、「不振企業の再生」に高い専門性を持つ点にあります。

1981年にデトロイトで創業された当時、企業の再生・リストラクチャリングという、従来のコンサルティングファームがカバーしていなかった領域に事業を展開していきます。その後、世界的な大規模再生案件でも実績をあげて、その地位を不動のものとしました。近年は、さらなる成長を目的とした企業変革、業務改善などにおける実績も増えています。

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>アリックスパートナーズ 公式HP

グローバル総合ファームの戦略コンサル部門

近年、クライアント企業からコンサルファームへ「戦略立案から業務、ITの改革まで総合的に支援してほしい」というニーズが高まっています。そのよう中、豊富な資金を持つグローバル総合ファームが、大手の戦略コンサルを買収することで、一気通貫のコンサルサービスを実現するようになってきました。

総合ファームの戦略コンサル部門は、社内にITコンサル部門、業務コンサル部門、監査法人などがあり、ファーム内のナレッジが豊富なことが大きな強みです。また、外資系戦略コンサルと同様に、グローバルでの知名度の高さから海外で働くことを考える方にとって、とてもよいキャリアとなっています。

PwCコンサルティング(Strategy&)

Strategy&は、約100年の歴史を持つグローバルな戦略コンサルであるブーズ・アンド・カンパニーが前身のファームです。2014年にPwCと統合。世界で約160カ国に展開し、約30万人のスタッフを擁するPwCネットワークに加わりました。

日本では、総合コンサルティングファームである、PwCコンサルティング合同会社の戦略コンサルチームという位置づけとなります。ブーズ・アンド・カンパニーの戦略立案における専門性とPwCグループに所属するさまざまな領域のプロフェッショナルのナレッジを活用しながら、企業を支援できることが大きな強みです。

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PwCグループに加わったことで、AIやバイオなどの先端テクノロジーをはじめとして、海外の税務、監査、地政学など、さまざまな領域のプロフェッショナルの力を借りることができるようになりました。ブーズ時代にはなかった大きなメリットだと思います。

(パートナー 40代 男性)

アクセンチュア(戦略)

アクセンチュアは、世界49カ国200都市以上に拠点を置き、グローバルでの社員数74万人を誇る世界最大の総合コンサルティングファームです。日本で最も従業員数が多いトヨタ自動車でも38万人程度となりますので、アクセンチュアがいかに大きな会社であるのかがわかります。

もともとはITコンサルティングに強みを持っていましたが、現在は、「ストラテジー&コンサルティング」「テクノロジー」「オペレーションズ」「インダストリーX」「アクセンチュアソング」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供しており、戦略コンサル領域でも大きな存在感を示しています。

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モニターデロイト

モニターデロイトは、デロイトグループの戦略コンサル部門です。前身であるモニターグループは、1983年にハーバード・ビジネス・スクールの著名な教授陣より設立された、世界的な戦略コンサルファームでした。

2013年にデロイトに統合され、日本ではデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)の戦略コンサル部門として、2018年に業務を開始しました。幅広い専門家ネットワークを擁するデロイトとのコラボレーションにより、先進性・専門性・独自性の高い戦略コンサルを提供しています。

>モニターデロイトについて詳しく知る
>モニターデロイト 公式HP

日系戦略コンサル

日系戦略コンサルの多くは、外資系戦略コンサルで活躍していた幹部社員が中心となって創業したファームです。そのため、コンサルティング手法もカルチャーも、外資系戦略コンサルと大きな差はありません。

日系戦略コンサルの強みのひとつは、海外オフィスからの影響を受けず、東京オフィスが中心となって、自社の経営方針を定めて意思決定できる点にあります。外資系コンサルファームでは、本国の景気によって、事業や採用方針に影響が出たりすることも珍しくありません。

また、日系戦略コンサルには、ベンチャー企業へ投資したうえで経営支援を行う「事業投資」を行なっているファームもあります。より実践的な支援に携わることができるので、起業家や経営者を目指す方にとっては、この点も魅力の1つと言えるでしょう。

経営共創基盤(IGPI)

2007年に、政府系機構である産業再生機構の中心メンバーによって設立されたハンズオン(常駐協業)型の戦略コンサルです。長期的・持続的な企業価値の向上を目的として、経営コンサルティングを実施。クライアント企業はスタートアップベンチャーから大企業までと幅広く、支援テーマも(海外展開を含む)戦略立案・計画策定はもとより、企業再生、M&A、投資、企業研修等と非常に多岐にわたります。

同社はクライアントの価値向上という目的に対し、結果が出るまで支援するために、成功報酬型のコンサル契約を結び、徹底したハンズオンスタイルを貫いています。このような企業への投資と経営支援を行なう事業投資活動も展開している点も、外資戦略コンサルにはない魅力となっています。

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>経営共創基盤 公式HP

IGPIでは、実践的な経営支援に携われるのが魅力です。計画を実行につなげ、成果まで見届けることができるため、やりがいを感じながら仕事ができています。 

(コンサルタント 20代後半 男性)

ドリームインキュベータ(DI)

元BCG日本代表の堀紘一氏が2000年に設立した日系戦略コンサル。「社会を変える 事業を創る」を経営方針に掲げ、クライアントに対し、戦略策定を越えたビジネスプロデュースのアプローチをとっています。事業創造支援や、複数の企業や官民を連携する支援に強みがあります。

また、近年は社会課題解決に関する活動にも注力。ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)という、民間企業のノウハウと資金を活用して、社会課題解決に取り組む仕組みを立ち上げて、注目を集めています。

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>ドリームインキュベータ 公式HP

地方創生、医療、こどもの教育などの社会課題の解決を起点とするプロジェクトも多いです。学生時代から社会貢献に関心を持っていたので、とてもやりがいがあります。 

(20代前半 アナリスト 女性)

コーポレイトディレクション(CDI)

1986年、BCG出身のコンサルタント10名を中心に設立された日本国内初の独立系戦略コンサルです。経営戦略の立案だけではなく、経営戦略の「実行・定着」に積極的に取り組む実行支援力に強みを持ちます。クライアントは大手企業から中堅企業まで幅広く、近年はメガベンチャーの支援も行っています。

現在では東京他、中国(上海)、タイ(バンコク)、ベトナム(ホーチミン)、シンガポール、台湾(台北)にグローバル拠点を置き、アジアをベースとした戦略コンサルへと成長しています。

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>コーポレートディレクション 公式HP

 

今回は、外資系戦略コンサル、日系戦略コンサル、グローバル総合ファームの戦略コンサル部門から、主要な13社を紹介しました。

ワールドワイドに拠点を持ち、グローバルカンパニーや大企業を主たるクライアントとしている外資系戦略コンサル。グループ内の多種多様な専門家の知見を活用して、戦略を提案できるグローバル総合ファームの戦略部門。戦略コンサルのみならず、事業投資まで手掛けている日系戦略コンサル。それぞれに特徴と魅力があります。

興味のあるファームを見つけたら、各社のホームページなどに掲載されている所属社員のインタビュー記事を読んでみましょう。社内の雰囲気や実態などがより深く掴めると思います。

また、コンサル就活の定番書である『新版 コンサル業界大研究』では、より詳細に各ファームの特徴をわかりやすく記載していますので、ぜひ手に取ってみてください。

第4回では、戦略系コンサルタントの華々しいネクストキャリアについて紹介します。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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