グループディスカッションの概要と評価ポイント
グループディスカッション対策道場

第1回 グループディスカッションの概要と評価ポイント

グループディスカッションは、出題されたテーマについて学生同士が議論を行ない、その際の内容と行動によって、評価が行われる選考です。

「どのような学生が、同じチームに入るのだろうか?」
「議論の場が荒れてしまったら、どうすればよいのか?」
「苦手なテーマが、出題されてしまったらどうしよう?」

などなど、グループディスカッションは個人面接よりも不確実な要素が多いため、心配に感じる方も多いでしょう。

手強いグループディスカッションを乗り越える方法を紹介する本シリーズ。第1回では、グループディスカッションの概要と評価ポイントを解説します。

グループディスカッションとは

グループディスカッションでは、採用企業から提示されたテーマについて、複数人の学生で議論を行い、決められた時間内で結論を導き出すことが求められます。議論の内容はもちろんのこと、合意形成を行っていく過程も評価される点が特徴的です。書類選考とWebテストの次に実施されることが一般的で、「グルディス」「GD」と略されることもあります。

「GDとは複数人で議論を行う選考形式」の図表

グループの人数と制限時間

ひとつのグループの人数は、4〜8人程度が一般的です。複数のグループが同時進行でディスカッションを行います。通常、選考官は複数のグループを回って評価するため、ディスカッションの内容を全て聞いているわけではありません。

制限時間は20〜40分くらいで設定されている場合が多くなっています。この時間内でグループとしての結論を出すことが求められます。

出題されるテーマ

出題されるテーマは、経営課題に関する内容や、公共政策に関する内容など、多岐にわたります。なお、出題テーマに関する詳細な解説は、第2回の記事で扱いますのでご確認ください。

GDのテーマ例
  • カーシェアの利用者を、1年で現在の3倍にするには?
  • 地球温暖化を食い止めるために、有効な施策は?
  • 会議をするとき、オンラインとオフラインはどちらがよいか?

グループディスカッション全体の流れ

「GD全体の流れ」の図表

グループディスカッションのイメージをつかんでいただくために、入室から退室までの一般的な流れを紹介します。

①アイスブレイク・自己紹介

まずは指定されたグループの席に着きます。このとき、アイスブレイクを兼ねて、同じグループのメンバーに挨拶と自己紹介をしておきましょう。

アイスブレイクとは、簡単にいえば「短い雑談」です。名前と大学名、専攻やサークルなど、大学でどんなことをしているかなどで問題ありません。自己紹介をすることで自分の緊張をほぐすだけでなく、他メンバーにも安心感を持ってもらえることにつながります。打ち解けた雰囲気をつくることができれば、メンバー全員のより積極的な参加が期待できるでしょう。

②テーマの発表

採用担当者から、ディスカッションの「テーマ」が発表されます。制限時間やディスカッション後の発表の仕方など、さまざまな注意事項もこのタイミングで伝えられます。メモを取って、聞き漏らさないようにしましょう。

③個人での思考時間

ディスカッションの前に、1人で考えるための時間が設けられることがあります。通常、この時間は5〜20分程度です。資料が配られる場合は、それを読み込んだうえで自分なりの考えをまとめます。

④ディスカッション

メンバー内で役割と時間配分を素早く決めて、議論を進めていきます。アイデアを出し合い、時間内に結論を出すところまでがディスカッションです。最後に結論をプレゼンすることを念頭に置いておくことで、まとめ方を意識した議論ができるでしょう。成果物が必要な場合は、この時間内に完成させます。制限時間は、20~40分が一般的です。

ディスカッションの具体的な進め方については、第3回で詳しく解説します。

⑤プレゼンテーション

プレゼンテーションは、1〜5分程度の時間制限が設けられているのが一般的です。発表者がグループを代表して、結論を発表します。メンバーの人数が多かったり、発表時間が長かったりする場合は、複数人で分担して発表するケースもあります。「なぜ、その結論にたどり着いたのか」という理由がわかりやすく伝わるように、シンプルで論理的な説明を心がけましょう。

⑥Q&A

採用担当者の方との、発表内容に対する質疑応答の時間です。基本的には発表者が対応します。しかし、メンバーの人数が多い場合は、発表担当と質問の回答者を分けてもよいでしょう。まれに、他のグループの学生からの質問を受けることもあります。

⑦講評・フィードバック

発表のあとに、採用担当者の方からのフィードバックの時間が設けられていることがあります。グループや個人の良かった点や改善点、アドバイスを聞ける貴重な機会です。メモを取るなどしてしっかりと聞きましょう。採用担当者の方へ個別に質問ができるなら、自身への評価を聞いておくと、より具体的に今後の成長に活かすことができます。

採用企業がグループディスカッションを実施する目的

グループディスカッションを突破するためには、実施する企業の目的がどこにあるのかを、適切に理解することが不可欠です。選考を通過するための最大のカギと言えるでしょう。

改めて考えてみると、グループディスカッションは、学生はもとより採用企業にとっても負担の重い選考です。それにも関わらず、なぜこのような選考を行なう企業が存在するのでしょうか。

採用企業は、「応募してきた学生が、自社で活躍できるのか」を選考プロセスで見極めたいと考えています。しかし、エントリーシートや個人面接だけでは、他者と円滑にコミュニケーションをして、上手に仕事を進められるのかといった点について、十分な確認ができません。

「採用企業がGDを実施する目的」の図表

他者とスムーズに協働できることは、社会で働くうえで極めて重要な要件となります。そのため、採用企業はチームで協働する場を擬似的に設定して、適性を見極めようとしているのです。

与えられるテーマに「絶対的な正しい答え」はありません。容易に結論が出ないテーマに対して、仲間とアイデアを出し合い、合意形成していくプロセスが見られています。そのため、グループディスカッションでは「発言内容」だけでなく、「行動」も重要な評価対象となっています。複数人で話し合う時の聞く姿勢や、違う意見を持った仲間と話し合う時の姿勢、議論を深める粘り強さなどが確認されているのです。

評価されるポイントは「3つのC」

グループディスカッションで確認されているポイントは、主に以下の3つです。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

「3つのC」の図表

①コミュニケーション(Communication)

議論の場においては、自分の意見や考えを分かりやすく伝えられるコミュニケーション力が求められます。わかりやすく説明するためには、ただ自分の意見(結論)を主張するのではなく「なぜそう思うのか」という根拠を論理的かつ具体的に話すことが大切です。

また同様に、メンバーの話す内容を適切に理解することも必要です。発言内容がわかりにくいメンバーがいた際には、内容を整理したり、具体例を質問するなどの工夫をして、参加者の理解を手助けするのも良いでしょう。

②コラボレーション(Collaboration)

また、他人と協力して物事を成し遂げる、コラボレーション力も求められます。メンバーが話しやすく、一致団結するようなグループの空気を醸成することも、コラボレーション力の一部といえます。特に、議論にうまく参加できていないメンバーへの配慮はとても大切です。声がけをするなど、メンバー全員が、楽しく積極的に参加できる場を積極的につくるように心がけましょう。

どの人も、その人なりの思考の流れがあり、発言につながっています。対立する意見に直面した時、反論する前に、なぜそのように考えたのかを確認することを普段から心がけておくと役立ちます。メンバーの想定している「前提」や「言葉の定義」がズレていると、意見が対立しやすくなりますので、注意が必要です。

③コミットメント(Commitment)

グループディスカッションでは、議論が複雑になってしまい、どのように整理をすべきか分からなくなることもあります。また、メンバー間の意見が対立して、議論が停滞することもあるでしょう。

そのような困難な局面でも、諦めずに話し合いを重ねる姿勢、コミットメント力は重要な評価ポイントなります。実際の仕事も容易には進みません。粘り強く問題解決に取り組むことは、社会人としてとても大切な心構えです。

まとめ

今回は、グループディスカッションの概要と評価ポイントについて解説しました。

企業で働くことは、その組織のメンバーの1人として力を発揮し、貢献するということでもあります。それを踏まえると、他者と協力しあって議論を進めるグループディスカッションは、企業で働くことにつながる要素が詰まった大切な選考であることが分かります。グループディスカッションの対策は、内定を獲得するためだけではなく、社会人として活躍するうえで必要な力を身につけるうえでも役立つのです。

第2回では、グループディスカッションの出題テーマを紹介し、第3回で、グループディスカッションの具体的な進め方と対策法を解説します。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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