- 三菱商事:2,090万円
- 三井物産:1,899万円
- 住友商事:1,758万円
- 伊藤忠商事:1,753万円
- 丸紅:1,654万円
第1回 総合商社とは?魅力ややりがいを解説
学生の就職先として、常に高い人気を誇るのが「総合商社」です。実際に、旧帝大および早慶の25年卒学生を対象にした就職人気企業ランキングでは、上位5位がすべて総合商社というラインナップでした。
なぜ総合商社の人気は続いているのでしょうか。本シリーズでは総合商社について基礎から紹介していきます。第1回は、総合商社の役割や魅力についての解説です。
総合商社とは
まずは、総合商社について簡単に説明します。
商社とは一言でいうと、「商売をおこなう会社」です。もともと商社が担う商売は「トレーディング」と呼ばれるもので、製品やサービスを売りたい企業と買いたい企業の仲介を行ってきました。高度経済成長期には、海外より原料を調達し国内メーカーに販売した上で、製造された工業製品の販売先を海外で開拓するといった形で、日本経済の復興に貢献してきたのです。
こうしたトレーディングにおいて、総合商社は「ラーメンからロケットまで」と表現されるように、食料品から石油・天然ガスなどの資源、果ては航空機や宇宙ビジネスまで、幅広く手掛けています。なお一方で、「食品のみ」「鉄鋼のみ」といった特定分野に取り組む「専門商社」も存在し、専門性を活かして重要な機能を担っています。
また、トレーディングとともに総合商社が担う重要な機能が「事業投資」です。たとえば上述の「資源」に関して、もともとはトレーディングが行われていましたが、そこで得たノウハウや人脈を活かしながら、採掘元となる鉱山などへの投資を始めました。これにより、資源の供給を安定化させるとともに、収益の拡大も実現してきたのです。
総合商社の魅力・やりがい
このように「トレーディング」「事業投資」の両軸でビジネスを展開する総合商社で働くことは、仕事内容のみならず、キャリアや報酬の観点でも非常に高い魅力があります。大きく分けると、以下の3つが挙げられるでしょう。
1. 社会的インパクトが大きくグローバルな仕事
総合商社における仕事には、日本を代表する大企業だからこそ、社会に与えることのできるインパクトの大きさがあります。特に大手の総合商社では、海外での油田開発や、途上国のインフラ整備など、社会的インパクトの大きな領域について、投資や経営も手掛けています。こうしたビジネスに関わることが出来るのも、総合商社の醍醐味です。
また上記の通り、総合商社のビジネスの多くが海外と関わるもので、ほとんどの総合商社が世界中に拠点があります。欧米をはじめアジア、南米、中近東、アフリカなど、エリアも多岐にわたり、これらの海外拠点に日本人スタッフが派遣されています。各国で平均して3~5年間ほど駐在し、現地でのビジネス拡大に貢献しているのです。
もちろん、総合商社に入社したからといって、必ず海外に駐在するというわけではありません。しかしながら、他の業界と比較して海外で仕事をするチャンスに恵まれており、グローバルでの活躍を希望する方にはフィットするでしょう。
2. 経営幹部を担えるチャンスが豊富
大手総合商社は、ビジネスを展開する中で、多くのグループ会社を保有しています。こうした会社の運営を任せる経営人材の育成も、商社が注力している取り組みのひとつです。
一般的な企業においても、一部の優秀な若手社員に対して「幹部養成コース」を導入している事例はあります。一方で大手総合商社の場合は、その対象が“一部”ではなく、多くの社員を経営幹部候補として育成しているのです。
そのため、ある程度経験を積んだ後、グループ会社に出向し、CEOやCOOといった重要なポジションで、会社経営に携わる社員も多くなっています。また国内に限らず、海外のグループ会社で経営幹部として出向するケースも少なくありません。
人材育成の体制が整っており、経営に関わる機会の多い総合商社は、経営人材を目指したい方にとって、うってつけのキャリアといえるでしょう。
3. 恵まれた給与・待遇
給与の高さや福利厚生が充実していることも、総合商社の大きな魅力となります。2024年6月時点で、大手総合商社5社が公表した2024年時点での平均年収は以下の通りです。
日本における上場企業約3800社の平均年収は、2023年度の調査で約651万円となっており、総合商社の給与水準の高さが分かるかと思います。また、総合商社の営業職の場合、30歳前後で年収は1000万円の大台を突破することになり、若くして恵まれた収入を得ることができるといえるでしょう。
また、手厚い福利厚生も見逃せません。独身寮や借り上げ社宅が用意されているほか、海外赴任になった場合の手当も充実しており、待遇は非常に良い業界です。
まとめ
総合商社は、国内外の多くの企業が関わるビジネスを、円滑に推進する役割を担っています。一つひとつのビジネス規模が大きく、高度な知識やスキルが求められる一方、その対価として格段に高い給与を得ているといえるでしょう。また、海外駐在の頻度も高く、グローバル人材として活躍できるチャンスが豊富にあるのは、総合商社ならではの魅力です。
次回は総合商社の仕事内容について、さらに詳しく解説していきます。
新卒で三菱商事に入社し、自動車および食品事業の事業開発を担当。海外留学や現地での新会社設立支援などを経験。外資系戦略ファームのベイン・アンド・カンパニーを経て、コンコードに参画。コンサルのほか、総合商社に関する支援で豊富な実績がある。