本シリーズでは、ケース面接対策の書籍として有名な「東大生が書いたシリーズ」の執筆メンバーが、ケース面接で扱われるさまざまな問題について徹底解説します。特に、「つまずきやすい箇所とそれらの回避策」を中心に取り上げています。
さて、第1回のテーマは以下の通りです。
日本国内における、防犯カメラの市場規模を推定してください。
いわゆる「フェルミ推定」の出題です。まずは本番と同様に、3分程度の時間で、一人で考えてみましょう。なお、まだケース問題の練習を始めたばかりの方は、制限時間を設定せずじっくり解いてみてください。
監修者
ケースアカデミー東京(旧東大ケーススタディ研究会)
2008年6月より戦略コンサル志望者を中心に活動開始。フェルミ推定やビジネスケース等の幅広いケーススタディの研究、セミナー、および就活支援活動を行っている。書籍の「東大ノート」シリーズは40万部を突破するなど、就活生や転職志望者を中心に高い支持を得ている。 【主な著書・編書】『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』『東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート』『東大ケーススタディ研究会 伝説の「論理思考」講座』(いずれも東洋経済新報社)
今回のケース問題で差がつくポイント
今回の問題で特に差がつくのは、以下の2点です。
- 前提条件の確認:どこまでの範囲の防犯カメラを対象とするか
- 各数値の推定:防犯カメラの「既存の設置台数」を、面接官と議論しながらどのように推定していくのか
上記を踏まえつつ回答のポイントをチェックしていきましょう。
一人で考える時間における検討内容
一般的なケース面接では、まず受験者が一人で考える時間を与えられます。フェルミ推定の場合は、3-5分程度が多いです。その後は、検討した結果を面接官に伝える時間となり、説明しながら新たに考えた内容も追加します。本章では一人で考える時間におけるポイントを整理しましょう。
さて一人でフェルミ推定を考える際は以下のステップで進めていきます。
実際の面接において、計算式から考え始める受験者も少なくありませんが、前提条件を必ず押さえましょう。
1:前提条件の確認
今回の問題の前提条件として、以下2点を確認しておきましょう。
条件1:「市場規模」の対象期間
まず、「どのくらいの期間」の市場規模を計算するのかを明示しておきます。市場規模は「1年間」で計算されることが多く、今回もそれで問題ないでしょう。
もちろん「1年間」が絶対ではないですが、あまりおかしな期間を提示すると「なぜその期間にしたの?」と面接官から指摘をされてしまうリスクがあります。
条件2:「防犯カメラ」に含まれる範囲
ここは受験者の間で非常に差がつくところなのですが、市場規模の計算に入る前にまずは「防犯カメラ」という単語が指す範囲を定義する必要があります。たとえば、以下の3つのような観点があります。
1)監視カメラを含むのか
「防犯カメラ」と似た単語に、「監視カメラ」があります。この2つについて違いがわかるでしょうか。簡単に述べると、カメラの設置目的が「犯罪の防止」か「事象の記録」かという違いです。しかし、どちらの目的も必要なカメラの機能は似ているため、「防犯と監視の両方に対応しているカメラ」も多数存在するはずです。
そのため、今回はどこまで「防犯カメラ」に含むのか明確にしましょう。たとえば、①あくまで「防犯」目的のみ、②防犯目的として使える監視カメラも含める、③すべての監視カメラを含める、といったパターンがありそうです。
2)“ダミー”の防犯カメラを含むのか
昨今、街中の色々な場所で防犯カメラを見かけます。しかし、これらのカメラが全て本物とは思えません。カメラは高額であり、防犯目的には映像を撮影・記録する機能がない「ダミーのカメラ」でも一定の効果が見込めるからです。
こうした「ダミーの防犯カメラ」は含めるべきでしょうか。「防犯目的なので範囲内」「撮影機能が無いので範囲外」といういずれも合理的ですが、この定義は「カメラの台数」はもちろん、「単価」にも大きな影響を及ぼすため、明確にしておきましょう。
3)防犯カメラの“周辺機器”を含めるか
防犯カメラは、映像を記録する媒体などの「周辺機器」が必要です。特に法人用の防犯カメラの場合、カメラ単体ではなく「映像記録用のレコーダー・記憶媒体」や「映像確認用のモニター」などをセットで販売している可能性もあります。
こうした周辺機器を含めるかについても考えておきましょう。ダミーの防犯カメラと同様、広義で見て市場に含めるのも、狭義で考えて「カメラ本体だけ」とするのも問題はありません。
たとえば記憶媒体として市販のSDカードなどを使うならば対象外ですが、「防犯カメラ専用の記憶媒体」が使用される場合は広義で見た市場の範囲に入るでしょう。
一方で現実的には、セットで販売されている商品からカメラ本体の価格だけを抜き出すことは難しく、セット商品分を除外した「市場規模」を求めるのは困難かもしれません。
2:計算式の分解
次に、「防犯カメラの市場規模」を構造的に分解して、計算式を作成します。まずは以下のように、ツリー構造で分解してみましょう。
論点:「新規」と「既存」を分けるか
計算式は色々な形で分解できますが、たとえば今回のように「販売される個数×単価」といった、人々の需要をベースに分解する場合、購入の仕方について「新規と既存を分けるか」という論点は押さえておきましょう。なぜなら、「新規購入」と「既存製品(設置済み)の買い替え」は、売上の考え方が大きく異なるからです。
- 新規購入:新しく建設される建物の数など、潜在的な防犯カメラの需要をベースに計算
- 既存製品の買い替え:すでに設置されている防犯カメラの台数をベースに計算
上記より別々に計算すべきと言えそうですが、「数値を概算する」というケース面接において、絶対に必要とも言い切れません。なぜなら、「新規購入」の需要がある一方で、「買い替えせずに廃棄(例:建物自体を取り壊した)」というパターンも存在し、ある程度成熟した市場であれば、両者の数値はおおむね同じになるからです。
つまり、「既存製品の買い替え」を考える際に、「買い替えせずに廃棄」というパターンを無視すれば、新規と既存を分けた場合と近い結果になるはずです。
今回の「防犯カメラ」は、ある程度市場が成熟していると言えそうなので、「新規」と「既存」を分けない形で問題ないでしょう。以降の解説もその前提で進めます。
3:各項目の値の推定
次に、「既存の設置台数×買い替え頻度×単価」という計算式に当てはめる数値を推定します。
項目1:既存の設置台数
今回の計算式において、この推定が最も難しいでしょう。次のステップである「面接官からの深掘りの質問」でも、この項目について多く質問されるはずです。
ここでは、防犯カメラが様々な建物に設置されるという前提のもと、個人・法人所有の建物それぞれにおける設置台数を以下のような形で推計します。なお、あくまで数分間で考えた結果なので、大雑把な推定になるのはやむを得ません。
項目2:買い替え頻度
■論点① どのような場合に買い替えが発生するのか
まずは「買い替え理由」を整理しておきます。一般論として買い替えは以下2つの理由をもとに発生します。
- 理由1:寿命に合わせた買い替え(故障、ないし耐用年数を超えた)
- 理由2:より良い製品への買い替え(例:故障していないが、最新の高性能な製品が発売された)
防犯カメラの場合は、以下の背景から理由1が多そうです。
- PCやスマートフォンのように、機械的な性能が短期間で大幅に上がりそうにない
- 「性能に問題はないが、最新モデルが出たので買い替える」ということは起こりにくい
- そこまで高性能・最先端の防犯カメラが必要になるような場所は限られる(一部のセキュリティが厳しい法人など)
■論点② 防犯カメラの寿命はどの程度か
上記を踏まえ、「寿命」をベースにして買い替え頻度を推定しましょう。このとき、身の回りにある、防犯カメラに近い製品の寿命を目安に推定するのが有効です。たとえば一般的な家電などの寿命は5年程度でしょう。それに近しいと考えれば、防犯カメラの寿命は5年間と推定できます。
■注意点:計算の前提を明確に伝えること
買い替え頻度について、論点②だけを議論する方が少なくありません。しかしながら、論点②の推計が合理的だと言うためには、論点①の議論が前提になります。論理的な回答のためには、このような「なんとなく置いている前提」についても明確に伝えることが重要です。
項目3:単価
「単価」についても、防犯カメラに近い製品を踏まえて推定します。たとえば、同じカメラ機能を持つ「スマートフォン」「一眼レフカメラ」などの価格を参考にしながら、防犯カメラの価格を設定しましょう(おそらく数万円~十数万円)。
加えて、前提条件の設定によっては、ダミーのカメラや周辺機器の単価も考慮する必要があります。もし防犯カメラの中でダミーの割合が高ければ、それだけ平均単価が下がります。その際は、単価に加えて「ダミー率」も考慮する必要がありそうです。たとえば以下のような形で構造的に整理しながら、面接官に示すと良いでしょう。
4:最終的な数値の計算
計算式の各項目の数値を推定したら、最後は計算するだけです。特に面接官から指示がなければ、ある程度数値を丸めながら計算することが有効です。たとえば、「1.98×1.90」といった計算であれば、「2×2」としてしまっても問題ありません。
以下、ここまでの数値設定をもとにした計算結果を示しておきます。
面接官からの深掘りの質問に応じた検討内容
さて、一人で考えた検討結果を面接官に伝えた後、残りの時間で面接官から多数の質問をされることになります。
このとき重要なのが、「面接官から指摘された内容を踏まえて、より良い回答を作る」というスタンスです。「面接官はディスカッション相手」という側面が非常に強いことを意識して、この章を確認してください。
1:「広さ」の不足…見落としがある箇所について指摘される
ケース面接では、「それで全部?」「それであってる?」といった質問をされることが多いです。その理由は、面接官が「あなたの回答には見落としがある」と考えているからです。
面接官からの指摘は、曖昧に実施される
面接官の指摘は「どこを見落としているのか」を明確にしないことが多いです。そのため、指摘の内容から見落としに気が付くことは、容易ではありません。
たとえば計算式を説明する際に「新規購入」について触れなかったとしましょう。その場合、「既存の置き換えだけではないよね?」などと具体的に指摘されることは稀で、単に「それであってる?」といった質問をされます。
この際、見落としについて深く考えずに「問題ないと思います」と答えるのはNGです。面接官が「問題ない」と考えているならば、指摘をされる可能性は極めて低いからです。ミスを修正する機会が与えられているので、どこを見落としたのかしっかり考えるようにしてください。
【注意】前提条件の見落としは気付きにくい
特に「前提条件」については、見落としに気が付きにくいです。たとえば、「監視カメラを含むのか」を明言しないまま「既存の設置台数」を推定した場合、防犯カメラの設置場所について「それで全部?」などと指摘されます。
この際、単に「他に設置場所はないか?」と考えても、面接官の意図には応えられません。そもそも「防犯カメラ」に含まれる範囲に立ち戻って検討すべきだからです。
しかし、面接官の指摘は、あくまで「それで全部?」という形なので、前提条件まで戻るのは難しいでしょう。そのため、前提条件については一人で考える時間の中でしっかり検討して、見落としを回避する必要があります。
2:「深さ」の強化…もう少ししっかり検討するように求められる
「広さ」に加えて、「もう少し詳しく説明して」「もっとしっかり計算して」といった形の指摘もされます。たとえば「既存の設置台数」に関して、より細かく計算するよう求められるかもしれません。
なおこの指摘は、「受験者の検討に不備がある」というわけではありません。そもそも、3分程度で考えた内容なので、検討が浅いのは当然です。そのため面接官からの指摘に対しては、「なるほど、もう少し詳細に検討してみます」などと返答しながら、残りの時間の中で追加検討するようにしましょう。
以下、今回のケースにおいて、指摘されそうな箇所を解説します。
「既存の設置台数」の深掘り
すでに解説した通り、この項目は面接官からより詳細に検討を求められる可能性が高いです。特に「法人」の箇所については、数値の根拠が曖昧なので深く質問されるでしょう。
このとき、「何かしらの適切な軸」を提示しながら議論を深めていくことが重要です。以下、想定される質問について押さえておきましょう。
■詳細質問1:「法人」における「普及率」
さて、この数値設定にあたりどのようなロジックがあればよいでしょうか。一例として、「○○の建物には普及している」「△△の建物には普及していない」といった議論が有効です。そのためには、建物をカテゴリで分ける必要があります。たとえば以下のような分類が考えられます。
- 商業施設
- オフィス
- 工場・倉庫
- 金融機関
- 公共交通機関
- 役所
- 学校
- 病院
- マンション・アパート(※共有部分)
ちなみに、上記を厳密にMECEに構造化すると時間がかかるので、ある程度の「ダブり」「粒度の違い」は気にせず、「漏れなく」洗い出すことを意識するのが良いでしょう。
上記の分類別に普及率を議論すれば、より詳細な検討になるはずです。同時に建物数も分類別に定義する必要が出てくるので、「法人」側の議論の全体を、以下のような形に変更しても良いかもしれません。
■詳細質問2:「法人」における「設置台数」
上記の図表の形式で値を埋めた後、「設置台数」について「なぜその値にしたのか」と質問された場合、どのような検討・返答をすればよいでしょうか。
結論としては、さらに軸を追加して場合分けしながら議論するのが有効です。たとえば以下のような場合分けです。
- 建物内:各種建物への入口、エレベーター、部屋の中
- 建物外:敷地の入口、その他の建物周辺
建物のカテゴリによって、どこに、どの程度の防犯カメラを設置されているのか異なるので、上記の場合分けは有効でしょう。加えて「普及率」も同様に分けて計算した方が良いかもしれません。
■詳細質問3:「法人」に関する検討の続き
ここまでの詳細化に加えて、たとえば「オフィスの普及率を0.5にしているのはなぜか?」などと指摘されることもあります。どの部分を質問するかは面接官次第なので、その場で臨機応変に対応するようにしましょう。
「どの項目が重要か」という視点ではなく、単に「この項目について、どのようなアプローチで考えるのか見てみたい」という考えで質問されることもあります。
上記質問については、何かしら新しい軸を1つ以上入れながら、議論を詳細化するのが良いです。たとえば「オフィスの建物の種類(戸建て or ビル)」などの新たな軸で場合分けしながら、議論を詳細化していきます。
この議論では、「どんな数値を入れるのか」ではなく、「どんな軸を提示して場合分けするのか」が重要です。オフィスの例であれば、他にも「業種」「立地」などの軸も考えられます。そのため、いきなり思い付いた軸を回答せずに、まずは「どんな軸があり得るか」を考えて候補を複数洗い出した上で、最適な軸を提示しましょう。
ちなみに、このような詳細化を経て推定した数値が変化しても、特に問題はありません。
その他の深掘り
1)「買い替え頻度」の深掘り
「買い替え頻度」について、他の家電製品の寿命を基に「5年間」と推定しました。このロジックに対して、「もう少ししっかり考えて」と指摘されたとしましょう。その場合、防犯カメラの寿命に影響を与えそうな以下の軸を追加で提示して、場合分けしながら検討することが考えられます。
- 軸1:「屋内利用」or「屋外利用」
- 軸2:「故障するまで使う」or「故障リスクが高まった段階で買い替える」
まず、屋外で利用すれば雨風にさらされるため、それだけ早く故障しやすい可能性があります。そうしたカメラは短めに寿命を設定すべきだとも考えられます。また防犯目的で設置している場所では、犯罪発生時に壊れていると困るでしょう。そうだとすると寿命が来る前に買い替える可能性もあるので、寿命を短めに設定すべきかもしれません。
2)「単価」の深掘り
「単価」については、以下のように「防犯カメラの設置場所に応じて単価を変える」という考えが有効です。
- 軸1:家庭用 or 業務用
- 軸2:屋外用 or 屋内用
業務用の方が、より高い性能や信頼性(故障しにくさ)が必要なので、単価が上がるでしょう。また屋外用の方が頑丈であることが求められるため、高単価かもしれません。
3:最終的な計算結果の見直し
ここまで議論で、場合分けが増えて計算式が複雑化している際は、最終的な市場規模の数値も見直す必要があります。このとき、以下2つの視点を意識しましょう。
視点1:厳密な数値計算は不要
「一人で考える時間」と同様、この段階においても数値の計算は厳密ではなくて問題ありません。特に新卒のケース面接は、既に面接時間が足りなくなっていることも多いです。また概算を意識して時間を浮かせることで、次の視点2に取り組むことも重要です。
視点2:「計算式」レベルのミスに注意
「数字の計算ミス」よりも、そもそもの「計算式の間違い」の方が、評価として致命的です。この段階で発生しやすいミスは以下の通りです。
- 掛け算と割り算を間違える(例:割り算をすべき箇所を掛け算にしてしまう)
- 数値の単位を間違える(例:年単位にすべきところを、月単位の値を入れてしまう)
■検証1:ここまでの検討にミスがないかチェックする
こうしたミスは、計算結果の算出時ではなく、「計算式の分解」の時点で生じていることもあります。そのため「計算式に間違いがないか」を意識しながら最終的な計算を進め、面接での評価を下げないようにしましょう。
■検証2:別途概算した数値を使って、計算結果を評価する
また、別途概算した数値と比較することも重要です。この「別途概算」は、とても大雑把な値で問題ありません。たとえば、ここまで検討した内容を踏まえて「日本人口よりも1桁少ない、1000万前後の数値になりそう。おそらく500万から3000万くらいではないか」などと概算します。
この概算数値はかなり幅があるため、意味がないと思うかもしれません。しかし先ほど示したような計算式レベルのミスは、1桁以上は変わってしまう場合が多いので、このくらいの概算でも十分に有用です。面接官から、「今回の計算結果をどう思う?」などと質問された場合は、このような形で自分の計算結果を評価しましょう。
面接時におさえておきたい視点
ここまでの回答例を踏まえ、最後に「回答上おさえておくべきポイント」を紹介します。
ポイント1:「最初に一人で考える時間」で、どこまで検討すべきか?
これは皆さんも気になる点でしょう。以下、与えられる時間が3~5分程度の場合について解説します。
目標とするレベル(理想的な回答)
まず「目標とするレベル」として、たとえば「面接官からの深掘りの質問に応じた検討内容」で述べたような深掘りは難しいでしょう。
そのため、「一人で考える時間における検討内容」で述べたような点を押さえていることが、一つの目安になります。特に今回は「市場規模を計算せよ」と問われているため、「市場規模の数値が計算済み」という状態を目指すと良いでしょう。なお繰り返しですが、計算結果は大雑把で問題ありません。
最低限達成したいレベル(現実的な回答)
一方で、「最初に一人で考える時間」は時間的な制限が厳しいため、「目標とするレベル」まで検討できないかもしれません。その場合、「最低限」というレベルとして「前提条件」と「計算式の分解」が終了していることを目指しましょう。なぜならこの2点にミスがあると、以下の理由からその後の面接官との議論が難しくなってしまうからです。
- 面接官からの指摘を受けても、前提条件の見落としに気付くことが難しい
- 「筋の悪い計算式」を提示してしまうと、それをもとに数値を推定したロジックを面接官に納得してもらうことが難しい
焦って無理やり「目標とするレベル」まで検討を進めた結果、「前提条件」や「計算式の分解」でミスをしてしまい、面接官との議論がうまくいかない方が少なくありません。そのため「前提条件」「計算式の分解」のレベルで、「致命的なミスをしない」ことが重要です。
実際に面接官を担当すると、半分以上の受験者が「前提条件」や「計算式の分解」で大きなミスをしています。
ちなみに、この最低限達成したいレベルにとどめた場合、回答時に「まだ具体的な数値の計算はできていませんが、どのように計算するのかを説明すると…」といった形で、市場規模の推定が終わっていないことを明確に伝えましょう。
ポイント2:各項目の数値の推定をどのように行うか?
フェルミ推定において、各項目の数値をうまく設定できないことも少なくありません。その場合の対応について、ここまでの解説も踏まえながらまとめておきたいと思います。
対応1:“類推”を活用する
この対応は、「買い替え頻度」や「単価」で示した通りです。「防犯カメラに近い、身の回りの家電などで、推定したい値を知っているもの」を選定し、そこから値を類推しました。ただし、あくまで「類推」なので、値をそのまま使うとロジックが弱いです。その場合は他の軸を加えながら、値を調整しましょう。
対応2:細かく場合分けする
上記でうまく対応できない場合、「場合分け」を試すことになります。こちらは、「既存の設置台数」で解説したようなイメージです。
別の軸を入れて場合分けすることで、単に「法人用の物件」というのではなく「オフィス用の物件」「商業施設の物件」といった形で明確化します。その結果、具体的にイメージができるため、数値を推定しやすくなります。
面接官の立場からも、具体的にイメージしやすくなるため、受験者から提示された数値に納得しやすくなります。
対応3:計算式の分解方法を変える
対応2でもうまくいかない場合、そもそも「計算式の分解」の方法自体を変えたほうが良いかもしれません。よくあるのは、「需要ベース」から「供給ベース」に計算式を変更するという対応です。
しかしながら、「どの計算式を立てても、数値の設定が難しい項目がある」という出題もあります。その場合は、前述のとおり色々な軸を提示しながら、面接官と議論していくしかないです。
ただしこの場合、どれだけ議論を続けても、納得度の高い結論を導くことは難しいです。そのため、「面接官との議論」という、プロセスそのものの質が重要になります。
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以上が第1回の解説となります。今回の内容を意識して、次回以降の演習に取り組んでください。