国を支える「官僚」の魅力
官僚の歩き方

第1回 国を支える「官僚」の魅力

「やりがいのある仕事がしたい」「社会に良い影響を与える仕事に就きたい」…就職先を選ぶときに、社会課題の解決に貢献できるかを意識する方もいるでしょう。そのような方に知ってほしい仕事が「官僚」の仕事です。官僚の仕事は、日本の抱える社会課題の解決に直結する仕事であるといえます。

このシリーズでは「官僚」という仕事について業務や魅力を深掘りします。官僚のポストに就く方法、仕事内容やその使命とは、どのようなものなのでしょうか。

国を支える官僚という仕事

官僚とは、国家公務員採用総合職試験に合格して中央省庁に採用された人たちです。「キャリア」「キャリア官僚」という呼称で聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

このキャリア官僚になるための総合職試験は、「ノンキャリア」の一般職試験よりも難度が高いことが知られています。そのため、キャリア官僚の出世スピードは早く、より重要な役職に就くことになります。中央省庁で重要ポストに就いているキャリア官僚は約1万5000人で、これらの人々が内閣・国政を支えるという重要な役割を担っているのです。

官僚の主な業務内容は、政策案や法案、予算案の策定です。様々な政策や法律のベースとなる案は、官僚が作成しています。また、日本国家の予算についても、官僚が原案を担っているのです。国の法律や制度を支える重要な役割ということが分かるでしょう。

官僚の魅力

官僚の仕事における一番の魅力は、国家の運営を担うということです。政策案や法案を策定するだけでなく、国会で承認された政策や法律の執行まで官僚が担っています。仕事を通じて国家全体にインパクトをもたらすということは、民間企業では得られない魅力です。

また、「雇用の安定」も魅力の1つでしょう。公務員は法律によって身分が手厚く守られているため、景気が悪くなっても解雇されるリスクはほとんどありません。有給休暇や医療をはじめとした福利厚生が充実していることも大きな魅力で、民間企業では廃止され始めている退職金制度も健在です。

以下では、官僚の仕事のやりがいについて、詳しく見ていきます。

「官僚として働く魅力とやりがい」の図表

やりがい1:「日本の未来をつくる」というスケールの大きな仕事ができる

官僚の仕事は、国民の生活に直結しています。新たな政策や法律ができると、国家全体に影響が及びますが、前述のとおり官僚は政策案や法案などの策定から関わっています。

まさに、日本という国の未来をつくるというスケールの大きな仕事といえるでしょう。それだけに、予算も大きくなっています。何億円、何十億円というお金を動かすこともあり、金額面のスケールも大きな仕事です。

やりがい2:国家を運営している実感がある

国を動かしているのは政治家だと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これまでご紹介のように、実際に政策案や法案を策定しているのは官僚です。また、国会議員が話す国会答弁の原稿を作成するのも官僚の仕事であり、官僚がいるからこそ、政治家は議論することができます。

政治の世界では、選挙で選ばれ国会で活動する政治家を「表方(おもてかた)」と呼ぶのに対し、実務を担う官僚を「裏方(うらかた)」と呼びます。この「裏方」である官僚こそが、政治家が掲げる理想を形にするために重要な役割を担っているのです。

やりがい3:専門性を持って働くことができる

官僚の仕事には、高い専門知識が求められます。配属される部署において専門知識を習得する機会に恵まれているだけではなく、学生時代に取り組んだ研究テーマや専門知識がそのまま活かされるケースもあるのです。たとえば、厚生労働省では、看護師や医師の資格を持っている官僚もいます。

仕事を通じて専門知識を深め、現場経験を広げ、多くの人に還元できることも、官僚の仕事の魅力といえるでしょう。

公務員全体における官僚

公務員全体における官僚の位置付けを整理すると、以下に示す「公務員の分類」の図の通りです。この構造を頭の中に入れておくと、官僚とは何かについて明確に理解することができます。

「公務員の分類」の図表

国家公務員or地方公務員/一般職or特別職

まず、公務員は、国家公務員と地方公務員の2つに大別されます。中央省庁を含めて、国が管轄する機関で働いているのが国家公務員です。中央省庁は、2023年9月現在、外務省や総務省、文部科学省など1府14省庁(3庁11省)あります。一方、県庁や市町村役場といった、地方公共団体で働くのが地方公務員です。

職員数で比較すると、地方公務員は、国家公務員の約4倍となっています。また、官僚を含む国家公務員の多くは定期的に地方勤務や他省庁への出向があることに対して、地方公務員は採用された自治体の中での転勤・異動にとどまる点も違いの1つです。

さらに、国家公務員・地方公務員ともに、業務の内容によって「一般職」と「特別職」に分かれます。官僚を含む多くの国家公務員は「一般職」と呼ばれ、総理大臣や国務大臣、国会議員などの政治家や、裁判官や裁判所職員、国会職員などは「特別職」と呼ばれています。

国家公務員の一般職は「国家総合職」「国家一般職」「国家専門職」の3種

ここからは、官僚が含まれる「一般職」の国家公務員について解説を進めましょう。一般職の国家公務員は、「国家総合職」「国家一般職」「国家専門職」の3つに分かれ、それぞれ採用試験も異なります。

官僚は「国家総合職」にあたり、前述のとおり国家公務員総合職試験に合格した人たちです。就職1年目から中央省庁の幹部候補生として働き、政策の企画立案や法案の作成に携わります。若くして責任あるポジションを任され、幅広く組織を渡り歩きながら経験を積めるのが特徴です。企画立案を行い、自ら動いて仕事をしていくという意味では、民間企業の「総合職」と近いと言えるかもしれません。

「国家一般職」は、国家総合職の官僚が企画立案した政策を実行します。したがって、政策の「執行役」に位置付けられ、官僚にとっては重要なパートナーと言えるでしょう。

「国家専門職」は、国家公務員の中でも、特に専門的な業務を行います。海上保安官・国税専門官・財務専門官・労働基準監督官などが代表的です。試験も官庁ごとに異なります。

官僚とはどのような仕事をしているか、少しずつ理解が深まってきたでしょうか。第2回では、より具体的に官僚の仕事内容について掘り下げて、その魅力を解説していきます。

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著者プロフィール
CareerPod編集部
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