官僚の仕事
官僚の歩き方

第2回 官僚の仕事

第1回では、官僚の概要と魅力について説明しました。今回は官僚が具体的にどのような仕事をしているのかを解説します。

官僚の仕事は「政策の立案」「法案の作成」「予算の編成」

官僚が担う仕事を列挙すると、以下のようになります。

  • 国の政策の企画立案・執行
  • 国の法案の作成・執行
  • 国の予算案の作成・執行
  • 国会答弁の原稿作成
  • 国家公務員の人事
  • 重要案件の指揮・監督・許認可

さまざまな仕事がありますが、主な業務は「政策の立案」「法案の作成」「予算の編成」です。これら3つの業務について詳しく見ていきましょう。

1. 政策の立案

官僚の業務の筆頭として挙げられるのは、国政の目指す方向性や、目的遂行の方針である「政策」の立案です。端的には、それぞれの中央省庁が掌握している領域において、国家的な社会課題を把握し、その解決を図るための方向性や方針を打ち立てます。

とりわけ、国民から信頼される行政を実現するために、政策立案においてはEBPM(Evidence Based Policy Making)という考え方が重視されています。「証拠に基づく政策立案」と訳されるもので、これまでの経験や勘に頼るのではなく、統計データなどの合理的な根拠(エビデンス)を活用した政策立案が求められているのです。

そのため、政策立案に取り組む官僚には、それぞれの領域において豊富な知識が求められるとともに、論理的思考に基づく企画力が必要不可欠であると言えるでしょう。

2. 法案の作成

国の政策を実現する手段として、法律を制定することが有効な場合があります。その意味で法律の制定は、「政策を推進するためのルールづくり」と言えるでしょう。こうした法律のベースとなる「法案」を作成することは、官僚の重要な仕事の一つとなっています。

法案の作成にあたっては、新しく法律を制定する場合と、既存の法律を改正する場合があります。いずれの場合も、法律が政策を実現する手段であることを踏まえ、従来の政策との違いや、新しい政策について深く理解することが重要です。そのためには専門知識も不可欠となります。

各省庁の官僚が法案を作成して、実際に法律が制定されると、国民生活に直接的な影響を与えることになります。社会的なルールづくりであるため、官僚にとって法案の作成は非常に重要です。

3. 予算の編成

各省庁が政策を実行するためには、予算が必要です。国の歳入と歳出の年間計画である「国家予算」を国会で審議するにあたり、各省庁の官僚は、所属する部署に関する「予算案」を作成します。

予算案の作成にあたって、まずは各省庁の官僚が「概算要求」を作成して財務省に提出します。概算要求は、各省庁の推進する政策に基づき、予算の使用目的や規模を示したもので、財務省の官僚がとりまとめて内容の妥当性を検討します。その後、財務省との折衝を経て、最終的な予算を編成していくのです。

国家予算を家計に置き換えて表現すると、以下のようなイメージとなります。

「国家予算を家計に置き換えたイメージ」の図表

家計において、収入と支出のバランスが大切であるように、国家予算でも歳入と歳出のバランスが重要です。そのため、財務省が主導して、国家予算案を調整しています。この予算案が内閣に提出されて閣議決定となった後、国会での審議を経て、ようやく国家予算が成立します。

今回は、官僚の主な3つの業務を解説しました。これらは、中央省庁の官僚に共通する仕事であり、いずれも国を支える重要な責務であると言えるでしょう。ただし、勤務する省庁によって扱うテーマは全く異なるため、次回は各省庁における官僚の仕事を深掘りしていきます。

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