ジョブ選考とは:その目的と評価ポイント
戦略コンサル向け ジョブ対策道場

第1回 ジョブ選考とは:その目的と評価ポイント

コンサルティング業界では、特に戦略系ファームを中心に、「ジョブ」や「インターン」と呼ばれる選考フェーズが導入されていることがあります(以降、両方を合わせて「ジョブ」と表現します)。このジョブ選考では、ケース面接とは異なった思考やノウハウが、少なからず重要になっています。

筆者は、論理思考の個人指導を行う中で、ジョブ選考に関する相談も多数受けておりました。その経験から言えるのは、ジョブ選考に関する事前知識が無いと、大きなミスをしやすいということです(なお、このミスは、思考力とはあまり関係ない、お作法的な要素も強い内容となります)。

そこで本シリーズでは、全4回にわたって、ジョブ選考の対策について紹介します。

ジョブ選考とはどんなものか

まずは、ジョブ選考の概要ですが、一言で述べると「数日間かけて、ケース問題を解く」という選考になります。以下、内容についてさまざまな視点から確認しておきましょう。

ジョブ選考の形式

まずは、基本的な形式について、確認しておきましょう。

ケース問題のタイプ

ケース問題ですが、「実在する企業に関するビジネスケース」が大半となります。たとえば、「オリジン弁当の売上を上げるには?」「アサヒビールの売上を上げるには?」といった問いです。

一方、普通のケース面接の場合、「架空の企業のケース問題」、例えば、「とある弁当屋の全国チェーン店X社の売上を上げるには」といった出題が多い傾向にあります。しかし、ジョブ選考の場合、このような架空の企業に対する問いは、ほとんど出題されません。

 
普通のケース面接においても、実在する企業のビジネスケースも出題されますが、架空の企業のケース問題が多い傾向にあります。

選考日数

選考日数ですが、1日から5日まで、さまざまなパターンが存在します。このとき、日数によって、進め方が少なからず異なってきます。1日や2日の場合、どのように進めるのか、ファーム側からある程度細かく指示されることが多い傾向です。たとえば、以下のようなイメージとなります。

  • ケース問題に対する基礎的なデータがすでに準備されている(つまり、自分でWebなどを調査する必要がない)
  • 数時間おきに実施される社員さんからのフィードバックを基に、次に何を検討するのか、ある程度細かく指示が出される

一方で3日以上の場合、進め方について、ファーム側からあまり細かい指示は出されない傾向にあります。つまり、受験者の側からすると、ある程度自由に検討を進めることを求められるということです。「自由に検討を進められる」というのは、裏を返せば「進め方自体を自分で考える必要がある」ということでもあり、難度が高くなるとも言えます。そのため、本シリーズでは、主に3日以上の場合を想定しながら解説していきます。

人数

ケースに取り組む人数について、「1人で1ケースに取り組む」という場合もあれば、「2~6人のグループで1ケースに取り組む」ということもあるなど、パターンはさまざまです。

このうち、複数人のグループの場合は、チームでうまく取り組むスキルが必要になります。一方で1人の場合、全てを1人で考えなければならないという難しさがあるものの、検討すべき内容自体は、複数人の場合から大きく変化するわけではありません。

そのため、認識しておくべきスキルやノウハウは、複数人の場合の方が多いと言えるでしょう。これを踏まえ、本シリーズでは、主に複数人で取り組む場合を念頭に置きながら、解説していきます。

ジョブ選考が実施されるタイミング

まずは、コンサルティングファームの代表的な選考フローを記載しておきます。

「コンサルティングファームの代表的な選考フロー」の図表

上記のとおり、ジョブ選考は、ケース面接選考を経た後に実施されます。つまり、ケース面接を通して、ある程度の思考力があると判断された受験者だけが参加していることになるのです。

 
そのため、グループディスカッションと異なり、「クラッシャー」と呼ばれるような人に遭遇する可能性は低いと言えます。

補足:選考タイミングによって、ジョブ選考の有無が異なる

ジョブ選考は、「秋以降の選考」よりも、その手前の「夏の選考」で実施される傾向にあります。つまり、夏の選考ではジョブ選考が存在するが、秋や冬の選考ではジョブ選考がないというファームもあるということです。

 
夏の選考の場合、「ジョブ」ではなく「インターン」と呼ばれることもありますが、名称が違うだけで、選考の中身はほぼ同じと考えていただいて問題ありません。

ジョブ選考の流れ・タイムスケジュール

それでは、ジョブ選考は、どのような流れで進むのでしょうか。詳細は、第2回以降で解説しますが、まずは概要を把握しておきましょう。以下、仮にジョブが3日間だった場合について、代表的な例を記載しておきます。

「3daysジョブの代表的スケジュール例」の図表

ジョブ日数が4日や5日になった場合、上記の中日の部分が長くなると考えてください。上記のスケジュールからは、以下の点をおさえておきましょう。

  • 最終日以外の日は、1日に1~2回、メンターと呼ばれる社員さんからのレビューの時間がある(夕方に行われることが多い)
  • 単にケース問題を解くだけではなく、「パートナー講義」「個別面談」「懇親会」など、ケース問題を解くこととは直接関係ないイベントが複数用意されている

ジョブ選考を実施する目的は何か

さて、ジョブ選考は何を目的として実施され、どんな視点で評価されるのでしょうか。

他の選考フェーズではわかりにくい部分を見ている

基本的には、ケース面接ではわかりにくい部分を評価するのが目的です。このとき、まずはジョブ選考の特徴(特に他の選考との違い)として意識しておきたいのは、以下の3点となります。

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それでは、上記のタイミングで、それぞれどのような視点から評価がなされているのでしょうか。この点を理解するためには、ジョブの流れをより詳細に把握しておくことが有効です。そのため、第2回と第3回では、ジョブの進み方について詳しく解説します。その上で、第4回で評価の視点を確認しましょう。

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著者プロフィール
白木 湊
経営コンサルタント
白木 湊
ケースアカデミー東京(旧東大ケーススタディ研究会)のメンバーの一人。 学生や新社会人向けに、ロジカルシンキングの個人指導を行っている『東大ケーススタディ研究会 伝説の「論理思考」講座』の著者。

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