第7回 投資銀行業界に関するQ&A
ここまでの記事では、投資銀行の仕事内容や魅力、外資系と日系の違い、収入やライフスタイル、鍛えられる能力、ネクストキャリアなどについて解説してきました。
投資銀行について理解していく中で、「どういう人が向いているのか」「英語力はどの程度必要なのか」など、さらなる疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、学生からよく挙がる4つの疑問にQ&A形式でお答えします。投資銀行の実態をより具体的に理解することで、自分に合うキャリアかどうかを考えやすくなるでしょう。
Q1. 投資銀行は実力主義で厳しいイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか?
A1. かなり厳しい環境であることは事実ですが、その分、若いうちから得られる経験も大きい仕事です
投資銀行では、短い時間で高い精度のアウトプットを求められる場面が多いです。若手であっても、企業の買収などの重要な案件の一部を担う以上、相当な責任感を持って仕事に向き合う必要があります。
また、特に外資系においては「アップオアアウト(up or out)」の文化が根付いています。これは、昇進できなければ会社にとどまり続けることが難しくなるという考え方です。社内で生き残るために厳しい競争があることも認識しておきましょう。
このように投資銀行は、決して楽な環境ではありません。一方で、常に要求水準が高い中で仕事をするからこそ、若いうちから密度の濃い経験を積み、圧倒的なスピードで成長できるとも言えます。「厳しさ」を理解した上で、それでも挑戦したいと思えるかどうかが、投資銀行を目指す上での一つの分かれ目になるでしょう。
Q2. 女性が少ない印象ですが、女性は活躍しにくいのでしょうか?
A2. 業界全体としては男性の比率が高いのが実情です。一方で部門によっても差があり、近年は各社が女性採用に力を入れています。
投資銀行は、男性比率が高いイメージを持たれやすい業界であり、実際に管理職比率などのデータを見ても、その傾向は否定できません。Q1で触れた通り、投資銀行の業務が厳しいものであるからこそ、仕事とライフイベントの両立が難しいといった面もあります。
なお、投資銀行の中でも「部門」によって男女の比率に差があるとも言われています。たとえば「投資銀行部門(IBD)」においては、伝統的に男性比率が高い傾向にあるとされています。一方でミドル・バックオフィスやリサーチ部門では、女性の比率が比較的高い傾向にあるようです。
また、近年は各社がダイバーシティ推進の取組みを進めており、新卒をはじめとしたジュニアにおいて、女性の採用を強化しています。女性が活躍できない業界では決してなく、着実に傾向が変わっていると理解してください。
Q3. 投資銀行に向いている人・向いていない人には、どのような特徴がありますか?
A3. 数字やロジックへの適性も求められますが、アドバイスを前向きに受け止められるか、周囲と比較される環境を楽しめるかといったマインドやスタンスが重要です。
投資銀行に向いている人の特徴として、「数字に強い」「論理的思考力がある」といったスキル面が語られることが多くあります。もちろんこれらも大切な要素ですが、実際に厳しい環境で活躍し続けられるかどうかは、スキル以上にマインドやスタンスによって左右される部分が大きいです。
たとえば、フィードバックを「人格への評価」ではなく、「成長のための材料」として受け止められる「素直さ」が挙げられます。投資銀行では、上司や先輩から日々細かい指摘を受ける場面が多いです。そのたびに落ち込むのではなく、次に活かすことを考えられるかどうかが、成長のスピードを大きく分けるでしょう。
また、常に周囲と比較される環境において、それを負担ではなく「刺激」として捉えられるかどうかも重要です。同期や先輩と成果を比べられる場面は少なくありませんが、それをプレッシャーとしてのみ受け止めるか、成長の後押しとして活用できるかで、日々の働きやすさは大きく変わってきます。
逆に言えば、「指示された仕事を着実にこなしたい」「一度の失敗や指摘で落ち込みがち」といった人には不向きと言えるでしょう。「報酬が高そう」「何となくあこがれがある」という理由だけでなく、厳しい指摘を受けながら仕事に向き合えそうかどうかを、事前に確認しておくことが大切です。
Q4. 英語ができないと、投資銀行に受かるのは難しいのでしょうか?
A4. 外資系では重要度が高いですが、英語力だけで合否が決まるわけではありません
特に外資系投資銀行では、英語は重要なスキルです。海外拠点の社員とやりとりをしたり、日本企業が海外企業を買収する案件に関わったりする場合、会議、メール、資料作成などで英語を使う場面があります。
一方、日系投資銀行では国内企業同士の案件が中心となることも多く、外資系ほど英語力が求められないケースもあります。とはいえ、海外企業との取引や海外投資家とのやりとりが発生することもあるため、英語ができれば仕事の幅が広がると言えるでしょう。
このように、英語力は重要な要素の一つですが、英語力がなければ採用されないというわけではありません。数字を扱いながら論理的に考える力、粘り強く仕事を進める力が土台になるということを覚えておきましょう。
そのうえで、海外企業が関わる案件や、海外オフィスとの仕事に挑戦したい場合、英語力は大きな武器になります。特に外資系を目指す学生は、早い段階から英語に慣れておくとよいでしょう。
まとめ
「投資銀行業界の歩き方」では、全7回にわたって、投資銀行の仕事内容、外資系と日系の違い、収入や働き方、身につく力、ネクストキャリア、そして学生が抱きやすい疑問について解説してきました。
投資銀行に関心を持った方は、業界研究や企業研究に加えて、早い時期から選考スケジュールを確認しておくことが大切です。特に外資系投資銀行を目指す場合は、選抜コミュニティなども活用しながら、インターンやジョブ選考に向けた準備を進めるのがよいでしょう。
本シリーズが、投資銀行という仕事を具体的に理解し、自分に合うキャリアかどうかを考える一助になれば幸いです。
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