自分に合う企業を見つけ、志望動機を深める「企業研究」
就職活動のはじめ方

第5回 自分に合う企業を見つけ、志望動機を深める「企業研究」

第4回では「業界研究」について理解を深めていきました。今回は、そこから一歩進んだ「企業研究」について詳しく解説します。

企業研究は、応募先の選定に必要なのはもちろんのこと、選考対策にも大いに役立ちます。本記事を読んで、しっかり取り組んでいきましょう。

なぜ企業研究が必要なのか?

「企業研究」とは、業界研究でピックアップした「志望企業候補」の情報を収集し、各企業についての理解を深めることです。

企業研究を行う目的は、主に以下の2つとなります。

「企業研究の目的」の図表

業界研究でピックアップした志望企業候補を中心に、深く情報を収集して、自分に合った就職先を見つけましょう。入社後に楽しく働くためにも、自分のやりたい仕事ができるのか、社風は自分の性格に合っているかといった点を確認することは大切です。

また、会社が行なっている事業に興味を持ったとしても、就職後にその仕事に携わることができるとは限りません。配属やキャリアパスなどについても、理解しておきましょう。

さらに、説得力のある志望動機や自己PRを作成するうえでも、企業研究は大切です。同じ業界であっても、企業によって経営戦略やカルチャー、求める人材像は異なります。その違いを踏まえたうえで、志望動機や自己PRを用意することで、説得力が増すことになります。内定を獲得するうえでも、大事なプロセスなのです。

特に、同業他社(競合)との差がどのあたりにあるかは、業界研究本などで研究しておかないと適切に回答することは困難です。倍率の高い人気業界では、深い業界理解を期待されることが多いので、このような点も含めて企業研究が必要になるでしょう。

企業研究の方法

企業研究は、以下のような3つのステップで進めていきます。

「企業研究のステップ」の図表

ステップ1:企業の情報を集める

まずは、志望企業候補を中心に情報収集していきます。以下に紹介するようにさまざまな情報源がありますので、有効に活用していきましょう。

雑誌「会社四季報」や企業のWebサイトを活用して、志望企業候補の基本情報を収集することから開始するのがおすすめです。

上場している企業であれば、投資家向けに公開されている情報もあります。投資家向けの情報には、就活サイトよりも詳しい内容が書かれており、企業の現状と今後目指す姿が見えてきます。学生にとっては少し難しい内容があるかもしれませんが、目を通すことで企業理解は深まるでしょう。

最近ではSNSやブログなどで企業文化や学生向けのメッセージを発信している企業も少なくありません。SNSで公式アカウントをフォローして、隙間時間などにチェックすることをおすすめします。

さらに、企業が開催している企業説明会や合同説明会をはじめ、長期・短期のインターンシップやOB・OG訪問など、実際に働く社員の方々と直接関われる機会がありますので、積極的に参加しましょう。

押さえておきたい情報としては、「企業情報」「事業内容」「業界内での位置づけ・財務状況」「社風」「勤務条件」「採用情報」の6つが挙げられます。収集した情報をこの観点から整理すると、各企業への理解がしやすくなるでしょう。

企業情報

代表者、企業理念、設立年度、資本金、所在地、従業員数など、企業の基本的な情報です。いずれも企業のWebサイトから確認できます。

事業内容

事業内容とは、企業が取り組んでいるおおまかな仕事内容のことです。企業の商品やサービス、ビジネスモデル(どのように利益を生み出しているか)を調べることで、その企業の特徴が理解できます。企業のWebサイトや業界研究本などで、確認をしましょう。

業界内での位置づけ・財務状況

その企業が業界のなかでどのような立ち位置で、何を強みとしているのか、さらにはどのような財務状況なのかを把握します。企業を分析した情報が整理されている「会社四季報」などの書籍を活用するのがおすすめです。

社風

企業の雰囲気や社員の働き方などに関する情報です。同じ業界であっても企業によって全く異なることも多く、さらに文字や写真の情報だけでは伝わりにくい部分でもあります。そのため、社員の方々と直接話せる「OB・OG訪問」を活用すると良いでしょう。

勤務条件

給与や年収、休日、勤務時間、福利厚生など、実際に企業で働くうえで大切な情報です。企業のWebサイトから確認できる情報もありますが、年収や勤務時間などについては、実態が分からないことも多いでしょう。そのような場合は、企業で働く人たちからの口コミ情報を集めたサイト「OpenWork」が参考になります。匿名で寄せられた情報なので、鵜呑みはできないもののおおよその傾向は掴むことができます。

採用情報

採用についての情報です。企業のWebサイトから、募集職種や求める人物像、活躍している社員のインタビューなどをチェックしましょう。入社後にどのようなキャリアを歩めるのかといったイメージを掴むのにも役立つ情報です。

ステップ2:同業他社と比較する

ステップ1で集めた企業の情報を、同業他社と比べてみましょう。その企業の業界内での位置づけや強みを理解することにつながります。商品やサービスの特性もわかります。また、社風や勤務条件の違いも見えてくることでしょう。

比較する主なポイントは「扱っている商品やサービス」「取引先や販売先の違い」「事業規模」の3つです。

扱っている商品やサービス

同じ業界内の企業同士でも、商品やサービスには違いがあります。それぞれの企業がどのように他社と差を図っているのか、しっかりと理解しましょう。

取引先、販売先の違い

企業の取引の方法には、企業が企業や法人を相手に取引を行う「BtoB (Business to Business)」や企業が個人(消費者)を相手に取引を行う「BtoC (Business to Cunsumer)」などがあります。取引形態の違いによって、営業方法や企業文化にも違いが出てきます。

やや話がずれますが、「BtoC」企業は、学生にもよく知られている企業が多いため、就職先としても人気が高くなる傾向があります。一方、「BtoB」の企業は、学生からは馴染みが薄く敬遠されがちですが、好業績の優良企業も多いのです。ぜひ注目してみてください。

事業規模

売上高や営業利益、従業員数、資本金などを見れば、事業規模が推測できます。1社だけを見ていても、事業規模が大きいかどうかはわかりません。しかし、いくつかの企業を並べてみることで、事業規模の大小から企業の業界内での立ち位置まで見えてきます。部署や商品・サービスが複数ある場合は、売り上げや利益がどのくらいの比率なのかを把握しておくようにしましょう。

ステップ3:どの企業が自分に合っているか分析する

ステップ1、2で調べたことをもとに、どの企業が自分に合っているかを見極めていきます。自分のキャリアの軸と企業の情報を照らし合わせながら、検討を行なうことで、自分にフィットする企業と出合えるでしょう。

まとめ

入社後に楽しく働いたり、望むキャリアを実現するためには、自分の価値観にフィットする企業を選ぶことが不可欠です。知名度や企業規模の大きさなどをもとに、安易に就職先を選ぶと、想定と違っていたということになりかねません。注意しましょう。

ここ数年でインターンを実施する企業も多くなり、社員の方々に直接話を聞くことができる場面も増えました。そのような機会も積極的に活用して、企業への理解を深めていくことをおすすめします。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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