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第2回 慌てないための「業界別就活スケジュール」
今回は、業界別の就活スケジュールについて解説します。
志望企業への応募が間に合わないと一大事です。その意味でも、スケジュールの把握は欠かせません。まずは大まかな流れを理解したうえで、自分用の就活スケジュールをつくってみましょう。
内定までの大まかな流れを理解しよう
就活は「対策」が成功の鍵を握ります。その点は大学受験と同様です。具体的には、自己分析、企業分析、業界分析、ES作成、Webテスト対策、面接対策などを行う必要があり、多くの時間がかかります。計画的に取り組んでいきましょう。
内定までの一連の流れを整理すると、下記のようになります。
経団連が推奨する就活スケジュールに則った企業では、本選考は3年生の2月末(卒業年次の前年冬)からエントリーが開始されます。その後、卒業年次である4年生の4月から6月にかけてESなどの書類審査、Webテストや面接などがあり、6月以降に内定が出るスケジュールが一般的です。しかし後述するように、コンサルティングファームや外資系投資銀行、ベンチャー企業などは、このスケジュールと大きく異なっているので注意が必要です。
主要5業界の就活スケジュールと選考ポイント
ここからは、学生からの人気が高い「主要5業界の就活スケジュール」と「選考におけるポイント」について解説します。
戦略コンサルティングファーム
戦略コンサルを目指すのであれば、選抜コミュニティの活用が重要
戦略コンサルティングファーム(以下、戦略コンサル)の就活における特徴のひとつは、志望する学生の多くが「選抜コミュニティ」に入るという点にあります。選抜コミュニティとは、戦略コンサルや外資系投資銀行などを目指す学生たちが就活対策を行う、少人数制の就活対策塾のことです。
戦略コンサルをはじめとするコンサル業界の選考では、ケース面接やグループディスカッションへの対応力が求められます。選抜コミュニティでは、これらの対策をサポートしてもらえるので、コンサル業界を志望するのであれば、参加することをおすすめします。
ただし、「選抜」と名前がついているとおり、参加するには2年生の冬(2〜3月頃)に行われる選考をパスしなければなりません。選考内容は、筆記試験、面接官とのディスカッションにより解決策を導き出す「ケース面接」、グループディスカッションなどです。
なお、これらの選抜コミュニティは、コンサルティングファームではなく、非営利団体や一般の株式会社によって運営されています。具体的には、下記のような団体が挙げられます。
戦略コンサルの選考スケジュール
戦略コンサルは非常に人気が高く、少ない採用枠に多くの志願者が集まっている状況です。そのため、選考ステップの数が多く、また各選考ステップの倍率がかなり高くなっています。
一般的な選考プロセスは、「ES」 →「筆記試験」 →「 ケース面接(複数回)」 →「 ジョブ(インターン)」 →「最終面接」 となっています。ファームによって若干の誤差はあるものの、多くのファームではこの流れで選考が進みます。
戦略コンサルの選考を受けるチャンスは、年に複数回あります。「夏選考」と「秋・冬選考」の2回を行なうファームが多いですが、それらに加えて「春選考」も実施するファームが登場してきました。これ以外のタイミングで選考を行なうファームも一部存在しますが、主たる選考はこの3回となります。
通常、最も採用枠が広いのは「夏選考」です。そのため、戦略コンサルを志望する場合は「夏選考」で多くのファームにエントリーするのが、基本的な方針となります。
ESの受付開始は、早いファームでは2年生の3月から始まります。ESの受付開始後、各ファームから筆記試験の案内が届くので、3年生になった4月ごろから筆記試験を受験することになります。
ケース面接の選考は例年5月頃から始まります。ケース面接の対策には時間がかかります。少なくとも、2ヶ月以上前には対策を開始しておきましょう。
「夏選考」では、ジョブは主に7月から9月にかけて行なわれます。ジョブとは、戦略コンサルタントの実務に近い業務を、1〜3日間かけて体験するインターンです。選考に直結する、戦略コンサルや外資系投資銀行のインターンは、ジョブと呼ばれています。ジョブで高い評価を受けると、ジョブ終了直後〜2週間後に最終面接の案内が届きます。
最終面接では、学生の人柄や社風とのフィット、入社意思の確認が主となります。最終面接を通過すると、その場もしくは数日以内に内定が出されます。
このような「夏選考」と同様の選考が、「秋・冬選考」と「春選考」でも行われます。
ポイント
戦略コンサルを目指す就活生の多くは「選抜コミュニティ」に所属する。選考スケジュールが早いため、2年生の1月までには、戦略コンサルへ応募するか否かを決めておくとよい。
外資系投資銀行(外銀)
外資系投資銀行を目指す場合も、選抜コミュニティは有効
外資系投資銀行(以下、外銀)も戦略コンサルと同様に、選考対策が重要なことから「選抜コミュニティ」に入る志望者が多くなっています。
2年生の1〜3月頃に選抜コミュニティの選考が行われ、選抜された学生たちが外銀の選考に向けて対策を開始します。選抜コミュニティでは、面接やジョブなどの対策のサポートを受けることが可能です。
外銀の選考スケジュール
多くの外銀では、3年生の5月、6月からインターンに向けてのES提出・筆記試験が始まります。企業によっては、これらに加えて録画面接を実施しています。
録画面接は、5問程度の問題が画面に表示され、思考時間1分、回答時間5分程度で答えていく形式の選考です。録画面接の質問事項は、ガクチカや志望動機等一般的なものが多くなっています。ただし、外銀の録画面接の多くは、英語での質問が数題出題されているので注意が必要です。
外銀では、ESでも英語での提出を求めるケースもあります。そのため、通常の準備に加えて、英語での回答も準備しておくことが必要です。
また、外銀では投資銀行業務や企業への深い理解が求められ、応募者がそれらの知識をもっていることを前提に面接が進められます。業界研究や企業研究を入念に行なっておきましょう。
6月から8月にかけては、夏選考のジョブに向けてのGD・面接による選考が行われます。ジョブでは、M&Aワークや財務分析など、実務に近い課題へ数日かけて取り組みます。
夏選考で内定を出す企業は、ジョブ後に最終面接を行ない、11月頃に内定を出します。一方、夏選考で内定を出さない企業は、ジョブで高く評価した学生へ本選考における優遇を与えて、本選考の最終面接に招待することが多いです。
10月になると本選考が始まり、12月頃には本選考のジョブが行われます。選考の流れは夏選考と同様です。1月頃には本選考を通過した学生、夏選考で優遇が与えられた学生に対して、最終面接が行われます。
外銀の最終面接は、「スーパーデー」とも呼ばれます。MD(マネージングディレクター)など、職位の高い幹部社員との短い面接が、1日で複数回行われます。企業によって異なるものの、通常は6回〜10回の面接が実施されるのです。1回の面接が30分だとしても、合計3時間〜5時間の面接を乗り越えなければなりません。スーパーデーは、数多くの面接官から終日鋭い質問を受け続けるため、精神的にも肉体的にもタフな内容として知られています。入社後の仕事においてもタフであることが求められる、外銀ならではの選考と言えるでしょう。
ポイント
外銀を目指す就活生の多くは「選抜コミュニティ」に所属する。選考スケジュールが早いため、2年生の1月までには、外銀へ応募するか否かを決めておくとよい。
総合商社の就活スケジュール
近年、総合商社でもインターンが実施されています。サマーインターンの選考は、3年生の5月頃から行われます。企業によっては、秋・冬インターンも実施します。これらのインターンで高い評価を得た学生は、本選考の内容を一部免除する特別ルートへ案内されることも多いようです。
本選考は、3年生の2月末頃から始まります。ES提出、筆記試験を経て、4月〜5月にグループディスカッションや面接が行われ、6月に内々定が出されることが多いです。
倍率の高い総合商社の選考を通過するためには、試験や面接にできるだけ早く慣れておくことが大切です。対策としては、総合商社よりも早期に選考が行われる戦略コンサルや外銀、早期に新卒採用を開始するベンチャーの選考を経験しておくことをおすすめします。難関といわれる企業での選考経験は、本命の総合商社の選考で大いに役に立つはずです。
また、総合商社は企業によってビジネスモデルや専門領域が異なります。業界研究や企業研究をしっかりと行い、面接が始まるまでに企業への理解を深めておきましょう。
ポイント
総合商社は、一般的な日系大手企業の就活とほぼ同じスケジュールだが、難度が高い。選考対策のために、早期に選考が行われる戦略コンサル、外銀、ベンチャー企業などの選考を受けておくことがおすすめ。
日系大手企業の就活スケジュール
日系大手企業では、3年生の終わりから4年生の4月頃に、説明会やエントリーが始まり、本選考が本格化します。
昨今は、日系大手企業でも、3年生の7月頃からサマーインターンを実施するケースがあるので注意が必要です。また、秋・冬インターンを実施する企業も一部で見受けられます。そのため、関心がある企業については、インターンが行われるかをチェックしておく必要があります。インターン選考が行われる場合は、1ヶ月前には対策を始めると良いでしょう。
なお、インターンの選考内容は、ES作成、筆記テスト、グループディスカッション、面接など、本選考と重なることも多くなっています。そのため、インターン選考の準備をしっかり行っておくことは、本選考の対策にも役立つのです。
従来、日系大手企業のインターンの多くは「本選考とは関係がない」とされていました。しかし、25年卒以降については、インターンに参加する学生の情報を本選考時に活用することが、経産省、厚労省、文科省の三省合意(※)で可能となりました。そのため、インターンで活躍した学生は、本選考で優遇される可能性があるのです。
また、高い評価を受けた学生は、早期選考の案内を受けたり、本選考のESが免除されたりするという例がこれまでも見受けられます。「選考とは関係がない」と謳っているインターンであったとしても、高い評価を得れば本選考が有利になる可能性もある、と心得て取り組むことが大切です。
(※)三省合意:インターンに関する基本的認識や推進方策を取りまとめた「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」。
ポイント
日系大手企業の採用選考は、4年生のはじめに本格化する。ただし、志望企業でインターンが実施される場合は、参加しておいたほうがよい。
メガベンチャーの就活スケジュール
メガベンチャーとは、「楽天グループ」「サイバーエージェント」「ディー・エヌ・エー」など、会社の設立から短期間で大手企業と肩を並べるまでに成長した企業のことです。
大半が経団連に加盟していないため、それらの企業を中心に選考時期が日系大手企業よりも早くなっています。企業によって選考時期は異なりますが、インターンを経て内定が出るケースが多いのが特徴的です。
3年生の4〜6月には、サマーインターンの選考を開始する企業が多いです。早い企業だと、2年生の3月から募集を開始する企業もあります。サマーインターンを経た選考の場合、3年生の秋に内定が出るケースも珍しくありません。早めにESを書き上げて、筆記・面接対策を進めておきましょう。
メガベンチャーのサマーインターンは、コンサル業界や総合商社の志望者が、選考対策の一貫として参加していることも多く、レベルが高い傾向にあります。しっかりと対策をしてから応募するようにしましょう。
ポイント
メガベンチャーは企業によって採用スケジュールが大きく異なる。選考時期が早いため、メガベンチャーへの応募意思は2年生の12月頃までに明確にしておくとよい。
まとめ
今回は、5つの主要業界の就活スケジュールを中心に、就活の進め方を解説しました。近年の就活の傾向として、インターンを活用することで、優秀な学生へ早めに内定を出す企業が増えています。志望企業の選考に乗り遅れないように注意しましょう。
次回以降は、本選考の準備として欠かせない「自己分析」「業界研究」「企業研究」について解説していきます。