押さえておきたい「就活の基本」
就職活動のはじめ方

第1回 押さえておきたい「就活の基本」

「就職活動(以下、就活)」は、長い社会人人生を左右する重要な局面です。多くの皆さんが、就活にどのように取り組むとよいのか、気になっていることでしょう。

近年、学生を取り巻く就活の環境は大きく変化しました。まず、企業の採用活動の自由度が増したことで、スケジュールが早期化しています。さらに、コンサル、外資系企業、スタートアップなど、日系大企業とは異なる魅力的な就職先が増えました。これらの企業の採用スケジュールは非常に早い時期となっています。つまり、従来のように3年生から開始すると、有力な企業や志望企業への応募機会を逃してしまう可能性があるのです。

現代の状況に対応した「就活の仕方」を基本からお伝えする本シリーズ。今回は、就活はいつからスタートすると良いのかを解説します。

日本の就活システムとスケジュール

日本の就活の特徴は、企業が必要な人材を大学卒業時にまとめて採用するという「新卒一括採用」を行っていることにあります。海外の企業では、新たに人材が必要になったタイミングで、採用を随時行うことが多いのです。世界でもやや珍しい採用システムであるといえるでしょう。

前倒し傾向の就活スケジュール

それでは、就活はいつから始めるのが良いのでしょうか。

2021年まで、政府と日本経済団体連合会(以下、経団連)が決めた「就活スケジュール」があり、基本的にこのスケジュールに準ずる形で、就活を実施している企業が大半でした。

しかし、2022年から、この経団連が示す就活スケジュールは「要請」の形に変化します。これによって、就活の時期を自由に決める企業が増えてきました。もちろん、現在も経団連の決めたスケジュール通りに、採用活動を行う企業はあります。しかし実態としては、より早い時期から選考を開始する企業が増え、「就活の早期化」が進んでいるのです。

以前であれば、3年生半ばから就活を始めても、多くの企業を受けることができました。しかし現在は、2年生が終了する3月から、企業説明会やエントリーシートの提出を開始する企業が珍しくありません。日系の大企業は業界内で足並みをそろえることが多いですが、コンサルティングファームやベンチャー企業、外資系企業は、独自の採用スケジュールで動いています。

そのため、周囲の友人と同じタイミングで就活を始めたら、「入社したい企業の選考はすでに終わっていた…」ということもありえるのです。

昨今の就活は、企業ごとに時期が異なったり、早期化が進んだりしています。応募機会を逃さないようにするためにも、大学2年生の頃には、興味のある業界や企業を見つけておくことが大切なのです。

就活は、人生を左右する大きなターニングポイント

「職業の選択」は、人生の豊かさに大きな影響があります。なかでも、ファーストキャリアを選択する就活は、その後の人生を決める大きなターニングポイントと言えるでしょう。ぜひ、余裕を持ったスケジュールで自分のキャリアについて考え始め、しっかりと準備をして、納得のいく就活をして頂きたいと思います。

「就活の人生のターニングポイントになる理由」の図表

仮に、22歳で社会人になって65歳まで働くとすれば、40年以上働くことになります。そして、通常は1日の勤務が8時間を超えますので、活動時間の半分以上は仕事をしています。つまり、人は人生の大半の時間を仕事に注ぐことになるのです。自分がやりがいをもって、心から楽しいと思えることを仕事にしたほうが良いことは、言うまでもありません。やりたい仕事に出会えるかどうかで、人生の充実度は大きく変わることでしょう。

また、収入も大きく変わります。昨今では年功序列的な企業が減り、若くても実績・実力に伴った報酬を得られる企業も増えています。さらに、業界や企業によって年収に大きな差があるのも事実です。就く仕事によっては、同世代と比べて2〜3倍の差が出ることも珍しいことではありません。

さらに、誰のために働くか、誰と働くかということも、仕事によって変わってきます。仕事は、誰かに貢献したり、社会を良くするために存在するものです。「子供たちに勉強の喜びを伝えたい」「働く女性たちを応援したい」「農業・漁業で頑張る人たちの役に立ちたい」など、皆さんにも応援したい「誰か」がいるのではないでしょうか。自分が役立ちたい人のためであれば、仕事のやりがいも倍増することでしょう。

ライフスタイルも変わってきます。仕事によっては、地方転勤や海外転勤があるかもしれません。その場合、好きなところに住むということはできませんが、違う環境で働ける魅力があります。一方、リモートワークを実施する企業も増えています。そのような企業であれば、自然豊かな地方からでも就業が可能です。影響があるのは、住む場所だけではありません。働く時間帯や勤務日程はもちろんのこと、出産や育児などのライフイベントへの対応のしやすさも、仕事や勤務先によって大きく左右されるのです。

このように、何をして働くのか、どのような企業に勤めるのか、という「職業の選択」は人生の豊かさにとても大きな影響があるのです。時間に余裕のある学生時代にこそ、「自分はどのような仕事につき、どのように生きていきたいのか」をじっくりと考えてみましょう。

まとめ

最近では、20代のうちから転職することも珍しくなくなり、キャリアの立て直しもしやすくなっています。しかし、社会人のスタートとなる就活が、重要であることには変わりはありません。

ポテンシャル採用をしてもらえる就活時が「最も広い選択肢」を持っていますし、仕事で活躍するためには、目指す仕事に早く就いて「若いうちから経験を積んだ方が有利」だからです。ぜひ就活の機会を大切にして頂ければと思います。

次回以降は、具体的な就活の取り組み方を解説します。第2回では、就活のスケジュールを業界別に見ていきましょう。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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