コンサルタントの仕事には、高度な専門知識と幅広い知見が必要です。そのため、週末に勉強の時間を取っている人も少なくありません。
戦略系ファーム コンサルタント(30代前半)
多くの学生から人気を集めるコンサル業界。その仕事内容やその魅力、働き方などについて、前回まで解説してきました。
今回は、コンサル業界を目指している学生からよくあがる5つの疑問にお答えしていきます。詳細を知ることで、より具体的に自分が働く際のイメージを持つことができるでしょう。
以前のコンサル業界は、ハードワークで知られていました。しかし昨今では、コンサル業界の働き方はかなり改善されています。タクシー帰りが続くような働き方は、過去のものとなったと言えるでしょう。
また、コンサルタントは「働く時間の長さ」よりも、クライアントや上司から「期待されている成果」を出せることが重視されています。そのため、成果を出すことさえできれば、勤務時間や働くペースは、比較的自分でコントロールしやすい仕事となっています。
ただし、プロジェクトで扱う内容は、大企業の経営者が高額な料金を支払って、相談してくるような難題です。当然、簡単には解決できません。勤務時間をコントロールしやすいとはいえ、短くないことには注意が必要です。特に、中間報告や最終報告の直前は、仕事が深夜にまで及ぶことがあります。
コンサルタントの仕事には、高度な専門知識と幅広い知見が必要です。そのため、週末に勉強の時間を取っている人も少なくありません。
戦略系ファーム コンサルタント(30代前半)
なお、プロジェクトの終了後には、1~2週間程度の休暇を取って、海外旅行に出かけたり、趣味に没頭したりして、英気を養う人も多くいます。また、最近ではリモートワークを導入するファームも増えました。そのようなファームで、一定以上のスキルが身についていれば、自然豊かな地方に移住しながら、働くといった自由度もあるでしょう。
以前のコンサル業界は、女性の比率が低かったのですが、最近ではその傾向も徐々に改善されてきています。女性からの人気が高くなってきている主な理由は「働き方の改善」と「キャリア形成の優位性」の2点が挙げられます。
前述のように、昨今はコンサル業界の働き方が変化し、格段に働きやすくなりました。これにより、多くの女性にとって選択しやすい職業となっています。今後は、AIの活用などによって、さらに働き方が改善される可能性があるでしょう。
そして、「自由度の高いキャリア」を手に入れることができるという観点からも、コンサル業界の人気は上がっています。コンサルタントとしての経験を持つと、さまざまな業界の企業の幹部や幹部候補などとして、声を掛けられるようになります。仮に育児や介護などの事情で、会社を一度辞めたとしても、コンサル経験者であれば転職や再就職がしやすくなります。
また、女性の採用に力を入れているファームが非常に多くなっています。もともと、コンサル業界におけるジェンダーバランスを保つためにも、女性コンサルタントの比率を高めたいという意向は年々強まっていました。そのような中、福祉、教育、まちづくり、ジェンダー平等などSDGs関連のプロジェクトが増え、女性の持つ英知や感性がファームにとってますます重要になっているのです。
このような背景もあり、現代のコンサル業界は、女性にとって魅力的なキャリアのひとつだと言えるでしょう。
結婚を機に6年働いた戦略コンサルファームを辞めて夫の海外赴任に帯同しました。3年のブランクがありましたが、コンサル時代の勤務経験が評価され、帰国後すぐに転職先が決まりました。
組織人事系ファーム出身者(30代前半 女性)
もちろん、昇格するためには、高いスキルを身につけて一定の成果をあげることが必要です。その意味では「実力主義」であると言えるでしょう。
一方、事業を拡大するためには、多くの社員に定着してもらう必要があります。そのため、多少成長が遅いコンサルタントがいたとしても、焦らずに育てようというファームが大半です。
特に大手ファームでは、研修制度が整っており、ベーシックな知識やスキルをしっかりと学ぶことができます。さらに、プロジェクトの中で、先輩コンサルタントたちが丁寧に指導をしてくれます。プロジェクトの終了後には、今後どのようなスキルを伸ばすと良いかといったアドバイスをパートナーやマネージャーから受けることも出来ます。
本人の努力は求められるものの、面倒見の良い組織が多い業界となっています。
コンサル業界に中途入社する人も、大半が「コンサル未経験者」です。そのため、新卒・中途含めて、未経験者を育成するための体制は整っています。
総合系ファーム パートナー(40代前半)
コンサル業界は、若くして転職するケースが珍しくありません。収入が高く、刺激的で楽しい仕事をできるのに、なぜ辞めるのかと不思議に思う方も多いことでしょう。
コンサルタントは仕事を通じて、高い問題解決能力を培うことができます。さらに、プロジェクトを経験する中で、人を巻き込めるリーダーシップを磨くこともできます。そのため、コンサルタントになってから3,4年も経つと、さまざまな企業から「うちで働いてくれないか」と声がかかるようになるのです。
採用されるポジションは、経営幹部や幹部候補、事業責任者などで、提示される報酬も高額となります。このような魅力的な誘いを受けるため、コンサルタントは若いうちから転職を検討するようになるのです。
また、コンサル業界は、もともと転職することを前提にして入社している人が多い業界でもあります。コンサルタントを経験することが、「経営幹部や起業家への近道」となることが知られているからです。
このような理由から、コンサル業界は若いうちから転職する人が多いのです。ただし、その背景にあるのは、ポジティブな動機が大半となっていますので安心してください。
デジタル技術の発展やグローバル化によって、企業を取り巻く競争環境は激しさを増しています。経営の効率化のためのデジタル対応や、紛争リスクへの対応、さらに環境問題などを中心としたSDGsやESGへの取り組みなど、企業が取り組むべき課題は増える一方です。このような新しい課題について悩む企業が増加する中、コンサルティングファームへの相談も急増しています。
さらに、プロジェクトの規模にも変化が見られます。これまでは、解決策の提示をすることがクライアントから求められていました。しかし、昨今では、提案した解決策を実行するフェーズにおいても、サポートを期待されるようになっています。
たとえば、3ヶ月間で新規事業のアイデアを提案した後で、その事業を実際に立ち上げるまで1年間の支援をして欲しいといったようなケースが増加しているのです。このプロジェクトの長期化、大型化傾向により、コンサル業界はさらに拡大するようになっています。
このような現状を鑑みると、コンサル業界は今後も企業の成長をけん引する重要な役割を担うことが予想されています。コンサル業界に入ることで、ビジネスの最前線を経験できるだけでなく、日本の経済を支える醍醐味を味わうことができるでしょう。