コンサルタントのネクストキャリア
コンサル業界の歩き方

第6回 コンサルタントのネクストキャリア

前回では、コンサルタントは日々の仕事を通じて、問題解決能力やリーダーシップ、プロフェッショナル・マインドなどが磨かれることを紹介しました。

そのような高いスキルを持った人材は、さまざま企業から声がかかり、高待遇で抜擢されることになります。そのためコンサル経験者には、キャリアアップとなる魅力的な転職先が数多くあるのです。

今回は、コンサル経験者の「ネクストキャリア」について解説します。

経営幹部に至る「キャリアの高速道路」

いま、さまざまな企業から「コンサル経験者を経営幹部として採用したい」という声があがっています。コンサル経験者は、20~30代といった若さでも、経営幹部・幹部候補として抜擢されることが珍しくありません。これは、年功序列的な企業でのキャリアとは大きく異なる点です。

昨今の転職市場においては、コンサルタントの経験は、経営幹部に至る「キャリアの高速道路」ともいえます。

これは、マッキンゼーやBCGなどの一部の外資系戦略ファームの出身者に限定された話ではありません。総合系ファーム、シンクタンク、財務系ファーム、組織人事系ファーム、DX・IT系ファームなど、様々な領域のコンサル出身者が引く手あまたとなっているのです。

コンサルタントの代表的なネクストキャリア

コンサル出身者は、さまざまな企業で活躍しています。ここでは、コンサルタントの代表的なネクストキャリアを4つご紹介しましょう。

「主要な4つのキャリアパス」のイラスト

企業の経営幹部・幹部候補への転職

まずひとつは、外資系企業やベンチャー企業の経営幹部や幹部候補として、転職するケースです。

Apple、Amazon、Google、マイクロソフト、ファイザーなどのグローバル企業は、コンサル出身者の主要な転職先の1つです。一般的な日本企業と比較して、年収水準がかなり高いのはもちろんですが、これらの企業へ新卒入社した社員よりも高いポジションで入社することも珍しくありません。

また、ベンチャー企業への転職では、20代でも役員として入社するケースがよくあります。最先端のテクノロジーを使い、自分が関心を持っている社会課題の解決に取り組むベンチャー企業が増えており、やりがいは十分といえるでしょう。

なお、転職する際にはコンサルタント時代に身につけた専門性をいかすことになります。具体的には、組織人事系ファーム出身であれば人事部門、DX・IT系ファーム出身であればIT部門、財務系ファーム出身であれば財務部門へ転職するといったかたちです。戦略系ファーム出身であれば、経営企画部門や経営者などに抜擢されるケースが一般的です。

PEファンドへの転職

皆さんは、企業買収の話題などでメディアに登場する、PEファンドという業種をご存知でしょうか。NHKのドラマ『ハゲタカ』の人気が火付け役となり、ドラマや映画、企業小説にもよく登場するようになりました。感度の高い皆さんの中には、関心を持っている方もいるかもしれませんね。

PEファンドは、経営がうまくいっていない企業を買収し、その企業の経営を立て直して、価値を高くしてから売却することで利益を得ている会社です。このPEファンドもコンサル出身者の主要な転職先となっています。

「PEファンドは買収先の経営を立て直し、価値を上げて利益を得ている」のイラスト

PEファンドは仕事内容のみならず、報酬面でも大変魅力的な転職先です。支援先の企業を成長させて、売却できた際には数億単位のインセンティブを受け取る、大手PEファンドの社員もいます。

そのため、PEファンドは多くのビジネスエリートたちから、転職先として高い人気を誇ります。一方で、投資銀行やコンサル業界の出身者などでなければ、なかなか入社できない非常に門戸の狭い業界となっています。

他のコンサルティングファームへの転職

在籍するファームから、別のファームへ転職することももちろん可能です。

この場合は、元のコンサルティングファームよりもさらに高い役職、高い年収で抜擢されることが多くなります。もともと待遇が恵まれた業界ですが、コンサル業界内で転職をすることで、働く環境や条件を良くすることができるのです。

また、最近では、株式上場を目指すコンサルティングファームも増えています。そのようなファームの経営幹部として入社することができた場合、コンサルタントとして高い収入を得ながら、ベンチャー企業の経営幹部と同様のやりがいを持つことができるでしょう。

起業

「起業」もコンサル出身者にとって、有力なキャリアのひとつです。実際に、エムスリー、オイシックス、ラクスルなど、コンサル出身者が起業したベンチャー企業で成功している事例は多数あります。

コンサルタントは仕事を通じて、経営に関する知見や問題解決能力を身につけることができます。その力をつけた後で、起業へ挑戦するため、成功する確率が格段に高くなっているのです。

起業の大きな魅力は、社会的にインパクトのある事業を自分の手でつくることができる点にあります。途上国支援、教育改革、地方創生、医療改革など、自分が関心を持つテーマで事業を行なうことは、大きなやりがいとなるでしょう。

また、起業した会社が成長した際には、数億~数十億円単位の収入を得ることも可能となります。これも、起業ならではの醍醐味です。

「社会的インパクトのある事業を立ち上げる「起業」という選択をする人も増えている」のイラスト

まとめ

今回は、コンサルタントの代表的な4つのネクストキャリアをご紹介しました。コンサル出身者には、幅広い業界の経営幹部・幹部候補として、あるいはプロフェッショナルとしての魅力的なキャリアパスが広がっています。

次回は、「コンサルはどのくらい忙しいの?」「実力主義で厳しいと聞くけど、大丈夫なの?」「コンサル業界の将来はどうなるの?」などなど、コンサル業界に関するさまざまな疑問にズバッとお答えします。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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