
第6回 【人事】会社の“人”に関わるすべてを支える企業の「心臓部」
人事の仕事
人事は、会社を支える「人」を採用し、その人たちが活躍できるようサポートする仕事です。どの部門に配属するかを適切に決めたり、より成長できるように研修を企画したりすることで、社員、ひいては企業の持続的な成長を支える重要な役割を担っています。
どれだけ素晴らしい経営戦略を描いても、それを実現する「人」がいなければ意味を成しません。だからこそ、人事は企業の成長に不可欠な「心臓部」と言えるのです。
人事の仕事は、主に以下の4つに分類することができます。
採用・選考
社内に新しい人材を迎えるための仕事です。具体的には、会社で必要な人材のニーズの整理、会社説明会などを通じた学生・社会人へのアプローチ、テストや面接といった選考の実施など、全てのプロセスを企画・管理します。就活において最もお世話になるのが採用を担当する人事の方と言えるでしょう。
配属・人事異動
社員が最も力を発揮できる役割に振り分ける仕事です。社員本人の適性や希望を踏まえながら、組織全体がスムーズに動くように調整します。
教育・研修
社員がスキルアップし、組織により貢献できるようサポートする仕事です。新入社員研修やリーダー育成研修など、目的に応じた研修プログラムを企画・実施します。
労務管理・制度設計
社員が働きやすい環境を整備するための仕事です。法律に沿って「1日の労働時間」や「休暇の取り方」など働き方のルールを決めて管理をするほか、給与・福利厚生や人事評価の仕組みを設計・運用します。
人事の仕事の魅力
人事の魅力のひとつは、「人のキャリアや成長に深く関われること」です。たとえば、採用においては、企業の“顔”として、多くの就活生や社会人と出会い、その人にとっての転機や挑戦の入り口に立ち会います。
また、教育・研修の仕事では、社員一人ひとりの成長を支援し、その歩みを間近で見守ることが可能です。さらに、人事制度設計を担う場面では、全社員の生活や会社全体の成長を左右する重要な役割を果たすことになります。なお、教育研修の制度や人事制度をつくる際には、世界の先端企業を研究することも珍しくなく、知的な刺激にあふれた仕事と言えるでしょう。
このように人事は、会社の組織運営に関する専門性を磨きながら、人との関わりを通じて、コミュニケーション力やマネジメント力、さらには経営的な視野も養うことができる仕事と言えます。
人事の経験を積むことで開けるキャリア
人事の仕事は、社員のキャリアや働き方に直接影響を与える重要な立場であることから、実績を積み重ねることで、経営幹部への昇進も期待できるポジションです。実際、一部の大企業では人事部門の経験が幹部への登竜門とされていることもあります。
また、人事で培われる専門性は、業界や企業規模を問わず多くの企業で求められます。そのため、他社や異業種への転職もしやすく、柔軟なキャリア形成が可能な職種です。
さらに、人事での経験を活かしてプロフェッショナル職に転身することも珍しくありません。たとえば個人のキャリア相談に乗るキャリアコンサルタントや、企業の人事に関する課題の解決をサポートする組織コンサルタントへキャリアチェンジして活躍する方も増えています。