第4回 【広報】会社のイメージを左右する「コミュニケーションの専門家」
広報の仕事
広報とは、自社の活動や考え方について、社内外に向けて発信する仕事です。発信する対象は消費者や取引先の企業、投資家など多岐に渡ります。
広報の仕事は、経営においてとても重要な役割を果たしています。たとえば、ある企業がSDGsについて熱心に取り組んでいることを知ったら、良いイメージを持つ人が多いでしょう。そうすると、消費者であれば「この企業の商品を買いたい」、学生の皆さんであれば「この企業に応募したい」となるかもしれません。また、投資家が「この企業は成長しそうだ」と判断すれば、株価が上がるでしょう。
このように、自社サイトやSNSのほか、新聞や雑誌などのメディアを通じて、自社の情報を発信することで、企業のイメージアップや成長につながります。一方、せっかく社会によい活動をしていても、消費者や学生に知られていなければ、良いイメージを持ってもらえません。広報は「PR(Public Relations)」の訳語でもあり、さまざまな発信を通じて、消費者や取引先などと良い関係性を作ることが、重要な役割なのです。
また、広報の仕事は「自社の外に向けた発信」のイメージが強いですが、「社内に向けた広報」という役割もあります。たとえば、勤務する企業に好印象や誇りを持てれば、社員の働きがいが増し、転職せず勤務し続けたいというモチベーションも上がるでしょう。そのため、社内報を通じて、自社の取り組みや社員を紹介したり、社内での交流イベントを企画したりすることも、広報の大事な役割となります。
ちなみに、第3回で紹介した「マーケティング」と混同されやすいですが、マーケティングがあくまで「売ること」を目的にしているのに対し、広報は「企業のイメージ・信頼性の向上」を目指しているといえます。
広報の仕事の魅力
広報による情報発信の内容や手段によって、企業のイメージは大きく左右されます。自分が手掛けた記事によって、自社の好感度や知名度が高まることも実感できるため、責任重大である一方、やりがいも大きいでしょう。また、広報の仕事では、社内外への情報発信やイベント企画を担うことから、企画立案力やコミュニケーション力など、ビジネスパーソンの基本となるスキルを広く身につけられる点も魅力の1つです。
広報の経験を積むことで開けるキャリア
広報の仕事の進め方やノウハウは、各企業で共通する部分も多く、他企業への転職がしやすい職種です。特に、雑誌やTVなどのメディアと関係性を深めていると、高い評価で転職することができます。
また、広報が発信する内容は採用や投資家対応などと密接に関わるため、人事やIR(Investor Relations)など、他の職種に転身するケースもあります。さらに、広報・PRの支援を行う「PRコンサル」となり、同領域のプロとして活躍する方も多いです。