第10回「福祉用具事業の課題の洗い出し」

第10回「福祉用具事業の課題の洗い出し」

本シリーズでは、東大ケースシリーズ『伝説の「論理思考」講座』の著者による、ケース面接の演習問題の解説を実施します。解説内容は、「つまずきやすい箇所とそれらの回避策」を中心としたものです。

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今回の問いは、以下の通りです。

日本国内で、介護用の福祉用具の販売とレンタルを手掛けるA社があります。高齢化に伴う、福祉用具の市場規模の拡大もあり、A社は売上・利益ともに好調です。

 

しかし、A社の社長は、福祉用具の販売・レンタル以外の、新たな売上の柱となる新事業の創設を急いているようです。A社の社長は、現在の事業に対して、どのような課題感を持っているのでしょうか。市場の動向を踏まえながら、想定される課題感を広く洗い出してください。

今回の問いについては、一人で考える時間から面接官との質疑応答を含めて「10分から15分程度でケース面接が終了する」と想定してください。たとえば、合計30分の面接時間のうち、前半15分を普通の面接(例:志望動機、学生時代に頑張ったこと)、後半15分をケース面接に使うような形式の面接において出題されたイメージです。

監修者
ケースアカデミー東京(旧東大ケーススタディ研究会)
ケースアカデミー東京(旧東大ケーススタディ研究会)
"東大生が書いた"シリーズの著者

2008年6月より戦略コンサル志望者を中心に活動開始。フェルミ推定やビジネスケース等の幅広いケーススタディの研究、セミナー、および就活支援活動を行っている。書籍の「東大ノート」シリーズは40万部を突破するなど、就活生や転職志望者を中心に高い支持を得ている。 【主な著書・編書】『現役東大生が書いた 地頭を鍛えるフェルミ推定ノート』『東大生が書いた 問題を解く力を鍛えるケース問題ノート』『東大生が書いた 議論する力を鍛えるディスカッションノート』『東大ケーススタディ研究会 伝説の「論理思考」講座』(いずれも東洋経済新報社)

今回のケース問題で差がつくポイント

今回の問いの場合、シンプルに「どの程度多くの課題を洗い出せるか」で差がつきます。ただし、当然ですが、単に課題の数を稼げばよいわけではありません。誰でも思い付くような課題ばかりを多数提示しても、あまり評価されることはないでしょう。他の受験者に差をつけることができないからです。

ちなみに、今回の問いにおける「誰でも思い付くような課題」とは以下のようなものです。

  • 社長は、現在よりも高い売上や利益の成長を求めている
  • 株主から、より高い売上や利益の成長を要求されている
  • 今後、日本全体の人口が減り、高齢者自体も、いずれは人口が減り始めるので、現在の売上の成長が止まる

上記の例は、いずれも「現在の日本において、大半の業種で成り立ちそうな課題」であることに注意が必要です。つまり、単なる一般論であり、「今回出題された問いに対してしっかりと考え抜いた結論」とは言えません。

一方、「今回の問いについて、しっかりと考え抜かないと洗い出せないような課題」を特定できれば、他の受験者に差をつけることができます。問いについてしっかりと考えて導いた結論なので、自分の思考力も面接官に示せるでしょう。さて、そのためにはどのような検討をすればよいのか、解説していきます。

一人で考える時間における検討内容

今回の解説は、「一人で考える時間を3分与えられた」場合を想定します。

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面接官からの深掘りの質問に応じた検討内容

最初に述べた通り、今回のケース問題は、10~15分程度の短い時間で解く場合を想定しています。そのため、最初の1人で考える時間で到達できる回答として、「面接官が事前に想定しているであろう結論」を、ある程度達成している場合の検討例を記載しました。

上記の点を踏まえつつ、「面接官との質疑応答」がそのように進むのかについて、整理しておきましょう。

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面接時におさえておきたい視点

最後に、今回の問いにおけるポイントを振り返っておきます。

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著者プロフィール
白木 湊
経営コンサルタント
白木 湊
ケースアカデミー東京(旧東大ケーススタディ研究会)のメンバーの一人。 学生や新社会人向けに、ロジカルシンキングの個人指導を行っている『東大ケーススタディ研究会 伝説の「論理思考」講座』の著者。

今回最終回となります。
長らくのご愛読ありがとうございました。

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