長期インターンで取り組む仕事とは
長期インターンのすすめ

第2回 長期インターンで取り組む仕事とは

第1回では、長期インターンの魅力を中心に解説してきました。ここまで読んで「面白そうだけど、ビジネス経験を持たない自分が参加しても大丈夫なのだろうか」と心配する人もいるでしょう。

そこで今回は、長期インターンでは具体的にどのような経験をするのか、事例と併せてご紹介したいと思います。

長期インターンでは何をするのか

長期インターンの内容は、「エンジニア職」と「事務職・営業職」でやや異なります。どちらの場合でも、実践的な経験を積むことができる点は共通していますが、応募時に求められるスキルなどにおいて差があります。

「エンジニア職・事務職のインターン風景」のイラスト

1. エンジニア職の長期インターン

エンジニア職の長期インターンでは、システム開発プロジェクトに参加し、プログラミングやシステム設計などの技術的な業務を行うことが一般的です。

インターン生であっても、採用時に経験やスキルを審査され、入社時から正社員と同様の仕事を担当することが珍しくありません。これは、中高時代からプログラミング経験を積んでいる人であれば、即戦力のエンジニアとして活躍することも可能だからです。

培ってきたスキルを使って仕事に取り組むことになりますが、もちろん成長の機会もあります。多くの場合、インターン生の技術レベルの向上に応じて、徐々により高度な仕事を任されるようになります。これにより、より高度で実践的なスキルを段階的に身につけることができるでしょう。

2. 事務職・営業職の長期インターン

営業やマーケティング、人事などの職種では、募集時に即戦力となる高いスキルや経験を求められることはほぼありません。これらの職種では、仕事をする中で少しずつやり方を教えてもらうことができます。先輩社員の補佐的なポジションからスタートして、徐々に重要な仕事を任されるようになるでしょう。

たとえば、営業職のインターンであれば、はじめは資料作成やデータ入力を担当し、徐々に顧客対応や商談同行を経験できるようになるといった具合です。

長期インターン体験談

長期インターンでは、実際にどのような経験をするのでしょうか。より具体的につかんでいただくために、Sさんの長期インターン体験談を紹介します。

Sさん

大学4年生の夏から9か月間、X社の長期インターンに参加。
卒業後はコンサルティングファームへ入社。

長期インターンに参加しようと思ったきっかけ

就職活動も無事に終了し、卒業後はコンサルティングファームへの入社が決まっていたSさん。大学4年生の夏に、Sさんは「社会人となる前に、ビジネスパーソンとしての基礎力を身につけておきたい」と、長期インターンへの参加を考えはじめました。

文章を書くことが得意だったSさんは、いくつかの募集を比較する中で、記事執筆や議事録作成を経験できるX社へ応募することにします。就活の過程で、X社の社員から聞く話がとても勉強になったことも、インターンに参加した理由のひとつでした。

取り組んだ仕事の内容

「Sさんの一日」の図表

Sさんはインターン生として9ヶ月間で、主に3つの業務を担当していました。

1. コンテンツ制作

X社の運営サイトに掲載する記事の執筆や、SNSへの投稿などを行いました。ビジネスライティングでは、読者の行動変容を促すために、読者の心情や立場、知識を踏まえたうえで、相手へ与えるインパクトを考えて執筆する必要があるのです。大学で取り組んできた論文の執筆とはだいぶ異なるため、Sさんも当初は苦労をします。しかし、先輩社員の指導のもとで腕を磨き、長い記事の作成も任せてもらえるようになっていきました。

2. 打ち合わせへの参加と議事録作成

クライアント企業との打ち合わせに同行し、議事録の作成を担当する機会もありました。インターンを開始して間もない頃は会議についていくのに精一杯でしたが、Sさんは徐々に議事録作成のコツをつかんでいきました。

学生では知ることのできない、クライアント企業の経営者の悩みなども聞くこともあり、とても思い出深い業務の一つだったといいます。

「Sさんが打ち合わせに参加している風景」のイラスト

3. 社員の方々のサポート業務

主にオフィスの掃除や備品整理、来客対応などを行いました。これらの業務は一見すると、単純作業のように思えます。しかし実際には、作業の効率的な順序や正確性、業務完了の基準などを、しっかりと考える必要があるのです。自ら考えて業務を遂行したこの経験は、Sさんの主体性や思考力を成長させました。

また、サポート業務を通じて、X社の社員とやり取りする機会が増えたのも良かったそうです。インターン開始直後は、Sさんも緊張していたものの、皆さんがとても気さくに話しかけてくれて、食事にもよく連れていってもらうことができました。

長期インターンをやって良かったこと

様々な業務を経験したSさんが、長期インターンをやっていて良かったことの1つとして、ライティングの基礎スキルが身についた点を挙げています。

Sさん:

相手に伝わりやすい文章や資料を作成することは、どの業界や職種においても重要な技術です。また、ライティング力の向上は、チーム内の論点整理や自身の思考整理にも役立ち、思考力そのものを高める効果があると感じました。

そのほかにも、社員のサポート業務や来客対応を経験したことで、社会人として必要なコミュニケーション力も身についたと感じているそうです。ライティング力やコミュニケーション力の不足は、多くの学生が社会に出た際に苦労することでもあります。それを入社前に高めることができたのは、社会人として大きなアドバンテージとなったことでしょう。

さらに、社会人の良きロールモデルを身近に持てた点も、長期インターンを経験したメリットだったとSさんは振り返ります。周囲の友人たちは、社会人に対して「忙しい」「大変そう」といったネガティブなイメージを持っていることが多かったそうです。

しかし、日々楽しそうに生き生きと働く社員の方々を間近で見た経験は、Sさんにとって社会人生活へのモチベーションを高める大きな機会になりました。

社会人になった現在でも、定期的に自分自身を振り返る際には、そのロールモデルの方の姿を思い出すようにしているといいます。長期インターンの経験が、まさに社会人としてのキャリアの原点になっているのです。

社会人となったSさんの現在

Sさんは、「長期インターンは、学生と社会人との間のギャップを埋める “助走” としてとても有用だ」と語ります。さまざまなビジネススキルを身につけることができたSさんは、社会人としてよいスタートを切る事に成功しました。

クライアントや上司からも喜んでもらえることが多く、ハードワークな環境においても、高いモチベーションで仕事に取り組めているそうです。数年経った現在、とても早いペースで昇格されています。

「長期インターン経験の有無で、スタート時から差ができる」のイラスト

まとめ

Sさんの実例をもとに、長期インターンで実際の業務についてご紹介しました。具体的な仕事内容は企業によって差がありますが、社員について業務を教えてもらいながらステップアップできる点は、共通していると言えるでしょう。

前回の記事で紹介したとおり、社会人としての基礎スキルを学生時代に身につけておけば、入社した会社でも早い時期から活躍しやすくなります。そのスキルによって顧客や周囲から喜んでもらえれば、仕事へのやる気が高まります。

そして、仕事に打ち込むことがますます楽しくなり、さらに成果があがるという「良循環」に入ることができることでしょう。この良循環に入ることは、社会で長く楽しく活躍していくうえで、とても大切です。

ここまで読まれて、長期インターンへの関心が高まっている方もいらっしゃると思います。次回は、長期インターンの探し方や、応募時の注意点などについて具体的に解説していきます。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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