選考対策①【ES・筆記試験・GD編】
戦略コンサル内定への道

第3回 選考対策①【ES・筆記試験・GD編】

今回は、エントリーシート(ES)、筆記試験、グループディスカッションについて解説します。

選考対策の第一歩は、「戦略コンサルが求める人材像」を適切に理解することから始まります。アピールすべきポイントを理解しないまま、ESを作成したり、グループディスカッションや面接の対策をしたりしても、高い評価を得ることはできません。

それでは、戦略コンサルが応募者に求める資質について、詳しく見ていきましょう。

戦略コンサルが求める「3つの資質」

「戦略コンサルが求める3つの素質」の図表

戦略コンサルタントに求められる資質としては、主に「問題解決能力・論理的思考能力」「高いコミュニケーション能力」「素直さ・成長力」の3つがあげられます。

問題解決能力・論理的思考能力

戦略コンサルは、クライアント企業からの依頼を受け、さまざまな企業を対象に問題解決を行っていきます。もちろんクライアント企業の内部には、その業界に精通しており、その企業が抱える課題に取り組んできた優秀な社員がいるはずです。それにもかかわらず、あえて外部に高額なフィーを払って依頼するのです。

当然、戦略コンサルタントに依頼されるテーマは難度が高く、高度な問題解決能力が求められます。また、経営課題を解決するためには論理的思考力も不可欠です。もちろん、これらのスキルは研修や仕事を通じて培われていくものですので、新卒の選考時には、あくまでも「素地があるか」を判断されているといえます。

高いコミュニケーション能力

コンサルタントの提案したプランを実行するのは、あくまでクライアント企業の社員です。いくらきれいな戦略を描いても、それをクライアントに適切に伝え、納得していただき、実行していただかないと意味がありません。

そのため、ロジック面での説得力はもちろん、関係者の感情にも配慮した高度なコミュニケーション能力が、戦略コンサルには不可欠です。選考過程におけるやり取りの中では、分かりやすく意見を伝える能力のみならず、他者が考えていることを察する感受性や理解力も含めて、適性が確認されるでしょう。

素直さ・成長力

コンサルタントは、さまざまな企業の先端的な経営課題に取り組みます。当然、日々勉強し続け、知見を高めていくことが求められます。また、上述のコミュニケーション能力を高めるためには、内面の成長も必要です。

そのため、自分の意見に反対されたり、課題を指摘されたりした際に、それを素直に受け止め、成長につなげていくことは、コンサルタントにとって重要な資質となります。自分の考えや過去の経験に固執せず、新しく教わったことを吸収し、実践してみるという素直さと成長力は、新卒入社のコンサルタントには、特に大切な資質といえるでしょう。

内定獲得に向けた具体的な選考対策

ここからは選考内容ごとの対策について解説していきます。

ES(エントリーシート)の対策

ESでは、「問題解決能力・論理的思考能力」「高いコミュニケーション能力」「素直さ・成長力」など、戦略コンサルが求める資質を有することを伝えましょう。もちろん、使用する文言は上記と同じである必要はありません。

難関として知られている戦略コンサルの選考ですが、外資系投資銀行や総合商社と比べると、ESの通過率はやや高い傾向にあります。

しかし、ESで記載する「自己PR」や「志望動機」は、面接でも繰り返し確認される内容です。そのため、ESに記載した回答が十分に練れていないと、面接で苦労することになります。ESの作成は、面接の対策にも直結する大事なプロセスですので、慎重に取り組みましょう。

ES作成の注意点

多くの日系企業の選考で課されるESでは、回答の字数制限は400文字程度です。一方、一般的な戦略コンサルのESでは、回答の字数制限が200字程度とかなり短くなっています。

戦略コンサルのESでは、盛り込むべき内容を吟味する必要があり、短いからといって作成は決して容易ではありません。戦略コンサルが求める資質があることを、短い文字数の中で伝えるためには、何を書き、何を捨てるのか。この判断がES通過のカギを握ります。

ES内で問われることが多い「志望動機」も注意が必要です。コンサルティング業界に関する書籍やCareerPodの記事などで、戦略コンサルの仕事の実態をよく理解してから、作成するようにしましょう。自己成長のためなど、自分都合ばかりの志望動機はNGです。

参考書籍

ES提出の時期

戦略コンサルの選考時期は、年々早くなる傾向にあります。2年生の3月には、各ファームの採用ページをチェックして、エントリーが開始されてないか確認しておきましょう。

ESの提出開始日から締切日までは、1ヶ月程度が標準です。エントリーが開始されたら、すぐにESの設問を確認することをおすすめします。早く取り掛かることができれば、丁寧に推敲する時間を確保できます。提出する前には、伝えたいことがクリアになっているか、文章の構造がわかりやすいか、論理展開に矛盾がないかなどを、何度もチェックしてから提出しましょう。可能であれば、先輩内定者や友人に添削してもらうと安心です。

ESの設問例
  • 課外活動におけるリーダーシップ経験(100文字以内)
  • 志望理由(200文字以内)
  • 長期キャリア目標[10年程度先の将来でやりたいこと](200文字以内)
  • 学業以外に力を入れていたこと[趣味、スポーツ、サークル活動など](100文字以内)
  • 今までの人生の中で成し遂げたことで、人に話したいことは何か(200文字以内)
  • 一生のうちに必ず成し遂げたい夢は何か(200文字以内)
  • 目標として思い描く5年後の自身の姿、およびそれを実現する過程で、戦略コンサルティングに興味を持ち志望した理由(200文字以内)
  • 自身の強みを生かして問題を解決し、成果を出した経験(200文字以内)

筆記試験の対策

戦略コンサルにおける「筆記試験」の通過率は、10〜20%程度と予想されます。SPIや玉手箱の場合は、80〜90%程度の正答率がボーダーであると考えられますので、しっかりと準備しておく必要があるでしょう。

ファームによって採用している筆記試験は異なります。しかしその大半は、SPIや玉手箱、GMATなど、一般的な筆記試験です。筆記試験は、対策をすることで合格率がぐっと高くなります。志望するファームの筆記試験内容を確認して、対策本で練習をしておきましょう。

なお、少数ですがオリジナルの筆記試験を課す企業も見られます。マッキンゼーは2022年卒より、自社で開発したシミュレーションゲームを課すようになったことが、内定者からのヒアリングで確認されました。そのため、マッキンゼーのテストは、市販の書籍では対策が難しくなっています。

戦略コンサル各社の筆記試験形式一覧

「戦略コンサル各社の筆記試験形式一覧」の図表
2024年7月時点の情報をもとに作成

筆記試験の対策時期と対策方法

筆記試験には、応募者の性格を把握する「性格適性検査」と、計算や言語などの能力を把握するための「能力適性検査」の2種類があります。性格適性検査は、自身の性格と照らし合わせながら回答すればよいため、事前の準備はあまり必要ないでしょう。

一方で、能力適性検査には対策が欠かせません。対策本を購入して、問題を実際に解いてみることが重要です。演習問題は2〜3回繰り返すことで慣れることができ、テストの本番で実力を発揮しやすくなります。

筆記試験によって、応募者を1/4〜1/8程度まで絞るファームが多くなっていますが、通過率が1/10といわれるファームもあり、いずれも狭き門です。特に戦略コンサルの場合、ライバルとなる応募者は、難関校の受験をくぐりぬけてきた優秀な学生が中心となります。確実に得点できるように、少なくとも選考の1〜2ヶ月前には対策をはじめましょう。

おすすめの筆記試験対策本

筆記試験の対策は、実際に手を動かして例題に取り組むことが大切です。数学の勉強と同じで、本を眺めているだけではテスト本番で歯が立ちません。また、試験の種類によって出題傾向や対策方法が異なります。自分が受ける試験に合わせて書籍を購入しましょう。以下に、おすすめの書籍をあげますので、ご活用ください。

グループディスカッション対策

通常、筆記試験終了後の1〜2週間で、合否の連絡が届きます。無事に通過できたら、企業によってはグループディスカッションへ進むことになります。なお、グループディスカッションの有無はファームによって異なりますので、各社の採用ページで確認しましょう。

グループディスカッションでは、「コンサルタントとして、他者と協働できるか」といった点が主に確認されます。具体的には、応募者の思考力や論理性、コミュニケーション能力、積極性、協調性、粘り強さなどが評価項目としてあげられます。主体的に意見を出すことも大切ですが、他メンバーの意見を聞かずに、自分の主張を押し通すのは禁物です。

グループディスカッションも、筆記試験と同様で、慣れることが大切です。場数を踏むことで、高いパフォーマンスを発揮しやすくなります。そのため、本命企業でグループディスカッションが実施されるのであれば、他社で事前に経験しておくとよいでしょう。

なお、戦略コンサルにおいて、グループディスカッションが選考にある企業は限定的です。しかし、Strategy&、コーポレイト ディレクション、ドリームインキュベータなど、一部のファームでは取り入れられていますので、応募する方は準備をしておく必要があります。


グループディスカッションの対策方法については、下記のCareerPodシリーズで詳しく解説しています。ぜひご確認ください。

まとめ

今回は、戦略コンサルで求められる3つの資質と、それらを踏まえた「ES作成」「筆記試験」「グループディスカッション」の対策について、お伝えしました。

次回は、面接の対策について解説します。戦略コンサルの選考では、特殊な「ケース面接」が課せられることで有名です。難関として知られる、戦略コンサルの面接を突破するために欠かせないポイントを紹介します。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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