選考対策③【ジョブ・最終面接編】
戦略コンサル内定への道

第5回 選考対策③【ジョブ・最終面接編】

今回は、戦略コンサル就活の「ジョブ」と「最終面接」の対策について解説をします。

ジョブは、一連の選考プロセスの中で最大の関門と言えるでしょう。ストレスがかかる環境下で、問題解決能力だけでなく、人物面も含めて総合的にコンサル適性が確認されます。一方、最終面接は、コンサル適性の確認とは異なる内容が主であるため、その点に注意が必要です。

どのようなことが選考突破のカギを握るのか、ジョブや最終面接において押さえるポイントを解説していきましょう。

ジョブ

戦略コンサルの選考プロセスでは、ジョブが実施されるのが一般的です。2024年時点では、マッキンゼー以外のほとんどの戦略コンサルで実施されています。

「ジョブとは」の図表

ジョブとは、1〜3日間にわたって行われる、就業体験を通じた選考のことです。実施形式はインターンと同様ですが、内定に直結する点が異なります。3〜5人のチームが構成され、戦略コンサルのプロジェクトを模した、企業の経営課題に関するテーマに対して取り組むことが求められます。

ジョブは、学生がプロジェクトを疑似体験できる貴重な機会となっているのと同時に、参加者のコンサル適性を判断するうえで役立つ選考プロセスともなっています。チームで取り組むジョブ選考では、個の能力だけでなく、他者と協働する力も選考の重要なポイントとなるのです。

選考は数日にわたるため、ストレスもかかり、疲労もたまるでしょう。そのような環境下における、粘り強く考える知的体力はもちろんのこと、メンバーへの配慮あるコミュニケーションやリーダーシップなども評価対象となります。

ジョブの期間中には社員との懇親会の機会も設けられます。ファームの雰囲気や価値観、社員の方の人柄を知る良い機会になるでしょう。

ジョブ選考の対策方法

ジョブでは、ケース面接対策で培われる、論理的思考力や問題解決能力が大いに役立ちます。ケース面接の対策で行なったように、お題を自分で設定し、解くという練習を再度実践してみると良いでしょう。その際、ジョブの過去問題に取り組むと、効率がよいです。

一方、ジョブはチームで1つの課題に取り組むという点が、ケース面接とは異なります。そのため、友人と「模擬ジョブ」を行うことで、協働する経験を積んでおくことも役立つでしょう。数人で集まり、1〜2日間かけて実践形式の模擬ジョブに取り組むと、コツをつかめるようになります。

また、2年生の冬からはじまる、ベンチャー企業の選考に参加するのもおすすめです。チームで課題に取り組む、ジョブ選考に近い形式を導入している企業が多くなっています。

ジョブの設問例

ジョブでは、以下のような設問が出題されています。

  • 海外の飲食店チェーンが日本へ進出する時に、最初に参入するべき都市と、その都市での展開戦略について考えよ。選択した都市での展開後、日本でのサービス拡大戦略まで言及すること。
  • 国内大手ヘルスケアメーカーが事業拡大のために買収するとしたら、次の3社のうちどの企業がよいか。買収後の経営戦略にも言及しつつ意見をまとめよ。買収候補企業は、大手 システムインテグレーター(SIer)企業、全国展開ドラッグストアチェーン、全国展開飲食店チェーン。
  • 大手IT企業のAI分野における新規事業の立案をせよ。

最終面接

ケース面接やジョブという難関を通過すると「最終面接」が行なわれます。

通常、最終面接までに応募学生のコンサル適性は確認されています。そのため、多くのファームが最終面接で重視している点は「志望度の高さ」です。採用企業の視点に立てば当然のことですが、熱意ある学生が求められています。最終面接では、企業への理解をさらに深めて、志望度の高さや情熱を示すことがカギとなるでしょう。

最終面接対策の時期と方法

最終面接の案内は、前選考から数日〜2週間ほどで届くことが一般的です。最終面接では、多くの企業で実施される面接のように、志望動機を問われ、入社に対する熱意を確認されます。

最終面接の前には、ES回答時にまとめた志望動機を再度確認しておくことが大切です。また、ジョブや面接で感じた、その企業の魅力を整理しておくのもよいでしょう。なぜコンサルタントになりたいのか、その中でもなぜこのファームなのかといった、志望度の高さを確かめられる質問への回答を入念に準備しておきましょう。

最後に―合否の結果にとらわれすぎない

「視野を広く持てば素晴らしいファームが多数見つかる」のイラスト

最後に読者の皆さんにお伝えしたい大切なことがあります。それは、「就活の合否結果にとらわれすぎない」ようにしていただきたいということです。仮に、第1志望や第2志望のファームで不合格となってしまったとしても、落ち込みすぎないようにしてください。

戦略コンサルは規模が小さいため、一社あたりの採用枠は非常に狭くなっています。そのため、「A社に合格したい」と思っていても、その一社で確実に内定を得るということはかなり難しくなります。倍率が高いというだけでなく、面接官との相性など運の要素も多分にあるのです。

しかし、コンサルティング業界を広くみれば、たくさんの会社が存在します。外資系戦略ファーム以外でも、日系戦略ファーム、総合系ファームの戦略コンサル部門、大手シンクタンクの戦略コンサル部門などは、経験できる業務も、身に付くスキルにも大きな差はありません。広い視野で捉えれば、A社にこだわらずとも、B社やC社でも、素晴らしいキャリアが待っていることに気がつくはずです。

また、当然ですが、会社に入ることが人生のゴールではありません。会社に入ることは、自分が目指す将来像を実現するためのプロセスにすぎません。

そして、その目指す将来像に至る道は無数ともいえるほどあるのです。第1志望や第2志望のファームに入れなかったとしても、長い目で見れば、人生に大きな影響はないことが大半でしょう。

もちろん、第1志望の企業から内定を得られたとすれば、それはとても喜ばしいことです。しかし、社会人として何かを成し遂げたわけではなく、ようやくスタートラインに立っただけです。これからが本番となります。よりよい社会人のスタートを切れるように、卒業までの時間を大切に過ごし、社会に出る準備をしましょう。

就職活動は、社会人としての「成長の好機」と捉えていただき、結果にとらわれすぎず、学びのプロセスを大切にしていただけると幸いです。

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著者プロフィール
渡辺 秀和
CareerPod編集長
渡辺 秀和
コンコードエグゼクティブグループ|代表取締役CEO
戦略コンサル、外資系企業の幹部などへ1000人を越えるビジネスリーダーの転職を支援したキャリア設計の専門家。「日本ヘッドハンター大賞」初代MVP受賞者。 著書:『未来をつくるキャリアの授業』(東京大学でのキャリア設計の教科書に指定)

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