
第11回 【経営陣】企業の未来を導く「司令塔」
経営陣の仕事
経営陣は、会社の未来を左右する重要な意思決定を担うポジションです。社長だけでなく、副社長や取締役なども含まれます。会社全体の戦略を描いて実行をリードする、やりがいの大きな仕事であると同時に、判断一つが事業の成長や社員の生活に直結するため、とても大きな責任を背負う立場です。
たとえば、新しい事業への参入や海外への進出、大きな投資など、会社の命運を分ける重要な判断は、経営陣にしかできません。資金や人材を何に使うのかを決める存在として、経営陣は企業の「司令塔」と言えるのです。
経営陣の主な仕事は、次の3つに整理できます。
①戦略を立てる
市場や社会の変化を読み取り、「どの事業に力を入れるか」「どんな商品やサービスを開発するか」など、経営に関する中長期の方向性を決めます。
②重要な意思決定をする
会議を通じて情報を集めることで、各部門の状況を把握します。そのうえで、資源の配分や人事・予算の調整などを行うほか、重要な局面での意思決定を下します。
③社外とのつながりを築く
社外の関係者と良好な関係を保つのも大切な役割です。例えば、上場企業では株主との関係構築が大切ですし、ベンチャー企業では投資家とのつながりが重要になります。加えて、メディアを通じて、会社やサービスの魅力を分かりやすく説明して、顧客やファンをつくる役割も担います。
経営陣に至るキャリアにはいくつかのパターンがあります。
- 社内で昇進を重ねる
- 自ら会社を起業する
- 実績を評価されて外部から招かれる
経営陣になるまでの道のりは人それぞれですが、共通して多様な能力が求められます。その中でも特に大切なのは、人をまとめる「リーダーシップ」と全体を見渡した「意思決定力」です。難しそうに思えるかもしれませんが、この力は学生のうちから少しずつ鍛えることができます。
サークルやゼミでリーダーを務めること、学園祭やアルバイトでチームをまとめること――これらはまさに「経営の第一歩」と言えます。さらに、ベンチャー企業での長期インターンでは、経営陣がどのように意思決定を行い、社員に伝えていくのかを間近で学ぶ機会があります。こうした経験を少しずつ積み重ねることで、将来経営陣として必要になる視点や力を育てていくことができるでしょう。
経営陣の仕事の魅力
経営陣の最大の魅力は、自分の意思で会社や事業を大きく動かせることです。新しい市場への挑戦や大規模な投資といった決断が、会社の未来や社会の変化につながります。自分の一声で組織が動き出すスケール感、社会へ影響を与える醍醐味は、他の職種ではなかなか味わえない特別なやりがいです。
もう一つの魅力は、会社の成果に直結する立場だからこそ得られる、報酬面での大きなリターンです。企業にもよりますが、数千万円~1億円超といった高額な年収を受け取っているケースも珍しくありません。
経営陣の経験を積むことで開けるキャリア
経営陣になることはキャリアにおけるゴールの1つかもしれません。一方で経営陣としての経験を活かし、さらにキャリアを発展させることも可能です。
まず、別の会社に経営陣として迎え入れられるケースがあります。例えば、それまでに培った経験や知識を買われて、経営が上手くいっていない会社の立て直しなどを任されることもあるでしょう。ほかにも、他社の経営に助言を行う社外取締役やアドバイザーとして活躍するケースがあります。
また、新たな事業に挑戦する起業家として再スタートを切る道もあります。経営陣としての経験や人脈を活かしながら、自分のやりたいことを追求し、新しい価値を社会に届けるチャンスとなるでしょう。
このように、経営を経験したからこそ広がる選択肢は多く、どの道を選んでも社会に大きなインパクトを与えることができます。
まとめ
「職種図鑑」では、全11回を通じて多様な職種を紹介してきました。どの職種も社会を支える大切な役割を担っており、それぞれに魅力があることが伝わっていれば幸いです。
もし少しでも「やってみたい」と思う職種があれば、ぜひ学生のうちから関連する経験を積んでみると良いでしょう。そのために、CareerPodで紹介している長期インターンに挑戦するのもおすすめです。
キャリアの選択に「唯一の正解」はありません。大切なのは、世間の評価や周りの声に流されずに、自分の価値観にあった道を選んでいくことです。
これから社会に出ていく皆さんが、自分らしいキャリアを描くうえで、この「職種図鑑」が少しでも役立つことを願っています。
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01【経営企画】経営者とともに会社の成長を推進する、社長のブレーン的存在
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02【経理・財務】お金の出入りを管理する専門職
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03【マーケティング】商品やサービスに直接関わる、もっとも生活に身近な立場
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05【営業】顧客の課題解決と自社の売上を支える「会社の顔」
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06【人事】会社の“人”に関わるすべてを支える企業の「心臓部」
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07【法務・知財】専門知識を活かしてリスクを封じる「守護神」
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09【デザイナー】企業とユーザーの「架け橋」となる存在
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