
第7回 【法務・知財】専門知識を活かしてリスクを封じる「守護神」
法務・知財の仕事
法務・知財職は、法律に関わるトラブルを未然に防いだり、アイデアや技術を大切な知的財産として保護したりすることで、企業の価値を守る仕事です。
皆さんが普段の生活で意識することは少ないため、どんな仕事かイメージが湧きにくいかもしれません。しかし実は、アルバイトを始めるときに交わす雇用契約書は、「法務」の担当者が作成していたり、スマートフォンの技術やアーティストの楽曲は「知財(知的財産)」として守られていたりと、法務・知財の仕事は、身近な場面で皆さんの日常を支えているのです。
優秀な法務・知財職がいなければ、せっかくのアイデアを他社に真似されてしまったり、気づかないうちに会社が法律を犯してしまったりすることもあり得ます。このため、法務・知財部門はまさに企業の「守護神」とも呼べる重要な存在なのです。
法務職と知財職は、法律に関する専門的な知見を活かして企業を守るという点で共通していますが、役割の範囲には違いがあります。
法務職は、取引先と結ぶ契約内容の確認、関連する法律の調査、社内のコンプライアンスルールの整備などが主な仕事です。ビジネスのあらゆる場面で生じる、「法律に違反していないか?」「後でトラブルにならないか?」という不安に応える社内の法律アドバイザーの役割を果たします。また、実際に訴訟などのトラブルが起きた場合の対応も重要な役割の1つです。
知財職は、新技術の特許を申請したり、新商品の名前やロゴを商標として登録したりします。そのほかにも、他社に自社デザインの使用を許可する契約の交渉なども担います。会社の競争力の鍵を握る知的財産を管理・活用するスペシャリストと言えるでしょう。
なお、法務担当は幅広く法律全般を扱うのに対し、知財担当は特許・デザイン・商標など知的財産の領域に特化しています。企業によっては、法務部の中に知財のチームがあることもあれば、特許に関する対応が多いメーカーなどでは、法務部と知財部が独立しているケースもあります。
法務・知財の仕事の魅力
法務・知財の仕事では、国際的な取引や企業の買収など、会社の「勝負どころ」に直接携わることが可能です。会社の今後を左右する責任の重い仕事ではあるものの、その分大きな達成感が感じられるでしょう。
さらに、法務・知財の仕事では法律改正や新技術の登場に合わせて知識を更新し続けることが欠かせません。学び続けること自体が仕事の一部なので、特に知的好奇心が旺盛な人にとって魅力的な仕事ではないでしょうか。
法務・知財の経験を積むことで開けるキャリア
法務・知財の仕事で重要な取引や訴訟をまとめた実績が評価されると、法務・知財部門の管理職として昇進し、チームを率いる道が開けます。
また、どのような業界においても法務・知財の知見は欠かせないため、専門性を活かして様々な企業の法務・知財部門へ転職できる可能性があります。とりわけ、自動車や家電などを作る製造業や、先端分野で新しい製品・サービスを手がけるハイテク産業の会社では、新しい技術やアイデアを守る必要性が高いため、法務・知財人材が重宝されることが多いでしょう。
さらに専門性を極めたい場合、弁護士や弁理士などの資格を取得して、法律事務所や特許事務所へ転職するケースも多いです。また、近年ではコンサルタントへ転身する例も増えており、法務・知財戦略の策定に加え、ニーズが高まっているリスク管理やコンプライアンス対応の分野で、さまざまな企業を支援することができます。
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