
第8回 【エンジニア】私たちの社会を形づくる「技術の匠」
エンジニアの仕事
エンジニアは、人々のアイデアをもとに、実際に使える製品やソフトなどをつくる仕事です。たとえば、毎日使うスマートフォンのアプリ、生活を便利にする家電製品、高速道路や橋なども、エンジニアが設計し、作り上げています。どれだけ優れたアイデアでも、形にならなければ役には立ちません。エンジニアは、私たちの暮らしを支える「技術の匠」と言えるでしょう。
ひとくくりに「エンジニア」と言っても、多くの専門分野に分かれています。
ITエンジニア
アプリ、Webサイト、ソフトウェア、システムなど、IT機器上で動くプログラムやサービスを作る仕事です。たとえば、メッセージをやり取りするスマートフォンアプリや、企業の業務を効率化するためのシステムなども、ITエンジニアが設計・開発しています。
建築・土木エンジニア
建物、道路、橋などの社会インフラを設計・建設する仕事です。地震や風に耐えられるように計算したり、安全で使いやすい構造を考えたりしています。
化学エンジニア
医薬品や化粧品などの身近な化学製品を作る方法を考える仕事です。たとえば、新しい薬を工場で効率よく大量生産するための手順を考えたり、生産過程に必要な新素材の設計や試作などを行ったりします。
機械エンジニア
自動車、ロボット、家電製品のように動く機械を設計・開発する仕事です。エンジンや歯車、モーターの組み合わせ方を決めたり、目指す性能に届いているかどうかを試作後にテストしたりします。
電気・電子エンジニア
電化製品や送電線などに必要な電気回路を設計し、コントロールの仕組みを作る仕事です。たとえば、テレビやスマートフォンの中で情報を処理するICチップや、発電所が作った電気を安全に家まで届ける仕組みを設計しています。
また、エンジニアの働き方には大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、自社の製品やサービスを提供する会社で「社内エンジニア」として働くパターンです。この場合、製品・サービスの企画を考えるところから、実際に作って動かし、改善するところまで、一貫して関わることができます。また、ある程度の時間をかけながら自社の製品・サービスを良くしていくことが求められるため、ユーザーの声をもとに改善を重ねていくなど、長期的な視点でプロダクトを育てる経験を積むことができるでしょう。
もう1つは、顧客となる企業から設計や開発を請け負う「エンジニアリング会社」で働くパターンがあります。顧客の要件に合わせて設計・開発・運用を行うため、たとえば、銀行のネットバンキングアプリや病院の情報管理システムなど、さまざまな業界や技術に携わることができます。また、多様な案件に関わることができる分、汎用的な問題解決力や提案力が身につく機会も多いでしょう。
このように、エンジニアは様々な分野で、人々のアイデアを具体的な製品やサービスとして世に送り出し、社会の課題を解決する重要な役割を担っています。
エンジニアの仕事の魅力
エンジニアの仕事では、自分の設計図やプログラムが実際に動く製品やシステムとして形になり、社会に価値を届ける喜びを味わうことができます。自分が設計に関わった建物が完成して多くの人に利用されたり、開発したアプリが世界中でダウンロードされたりする瞬間は、その象徴的な例と言えるでしょう。設計・試作・製品化の一連のプロセスを自ら手がけるため、ものづくりに情熱を注ぐ人にとっては格別の達成感が得られる職業です。
また、エンジニアの世界では、毎年のように新しいツールや技術が登場するため、このような変化に対応するには、仕事の中で学び続ける姿勢が必須となります。新しい知識を吸収するのが好きな人や、世の中の変化に敏感な人にとっては、刺激的で楽しい仕事と言えるでしょう。
エンジニアの経験を積むことで開けるキャリア
エンジニアとして、製品やサービスを開発する経験を積んだ後に、プロジェクトリーダーや管理職としてチームを率いるというキャリアが一般的です。一方で、専門性を高めるためや、先端領域の技術に挑戦すべく、他社へエンジニアとして転職する人も見られます。
また、クライアントから設計・開発を請け負うエンジニアリング会社で経験を積んだ後、「より上流の企画段階から関わりたい」、「自社サービスを長期的に育てたい」といった思いから、自社内で製品の開発を行う事業会社へキャリアチェンジするケースも珍しくありません。
たとえば、ITエンジニアのキャリアパスに焦点を当てると、開発・運用などの実務を経験した後、プロジェクトリーダーやマネージャーを目指す方が多いです。そのほかにも、企画や戦略立案など、より上流での課題解決に挑むITコンサルタントへ転職する方も少なくありません。さらに、システム開発企業やコンサルティングファームでの実務経験を積めば、大手企業のシステム部門やスタートアップ企業の幹部へステップアップするキャリアも広がっています。
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